セッション情報 | 専修医セッション(卒後3-5年) |
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タイトル | 16:肝硬変による難治性腹水に対するトルバプタンの検討 |
演者 | 秋山 慎太郎(虎の門病院肝臓センター) |
共同演者 | 池田 健次(虎の門病院肝臓センター), 瀬崎 ひとみ(虎の門病院肝臓センター), 宗林 裕史(虎の門病院肝臓センター), 福島 泰斗(虎の門病院肝臓センター), 川村 祐介(虎の門病院肝臓センター), 小林 正宏(虎の門病院肝臓センター), 斉藤 聡(虎の門病院肝臓センター), 保坂 哲也(虎の門病院肝臓センター), 芥田 憲夫(虎の門病院肝臓センター), 鈴木 文孝(虎の門病院肝臓センター), 鈴木 義之(虎の門病院肝臓センター), 荒瀬 康司(虎の門病院肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院肝臓センター) |
抄録 | 【目的】肝硬変による体液貯留に対して、バゾプレシンV2 受容体阻害薬であるトルバプタンが使用可能となった。そこで、当施設でのトルバプタンを使用した肝硬変による難治性腹水の症例について治療成績、有害事象を検討した。【対象・方法】対象は2013年9月から現在までにトルバプタンを導入した肝硬変による難治性腹水12例とした。症例は、男性7人、女性5人、年齢は56-79歳、原疾患は、C型7例、アルコール性4例、NASH1例であた。Child Pugh分類は、Bが6症例、Cが6症例であった。既存の利尿薬に抵抗性を示す難治性腹水症例に対してトルバプタン1日量3.75mgから開始した。体重推移に応じて7.5mgまで増量した。導入後7日間の体重、電解質異常(特に高Na血症)、腎機能、尿量の変化を追跡した。4日間で3kg以上体重が減少した群を著効、著効基準を満たさず7日間で体重が減少した症例を有効、7日間で体重が増加した症例を無効と定義した。【成績】(1) 著効は4例、有効は6例、無効は2例であった。無効例2例ともに特発性細菌性腹膜炎(SBP)を認めた。著効例、有効例では体重が1日あたり平均0.41kg減少した。無効例では、1日あたり平均0.25kg増加した。(2) 有害事象として電解質異常について評価した。血清Na推移については、投与前12症例の平均が136.6mmol/l (n=12)であり、投与7日目137.6mmol/l(n=7)で、高Na血症を呈した症例はなかった。(3) 腎機能について評価した。平均血清クレアチニン濃度については、投与前1.24mg/dl (n=12)であり、投与7日目1.28mg/dl (n=6)であった。腎機能障害を呈した症例はなかった。平均尿量は、投与前1448ml/日(n=10)、投与2日目2133ml/日(n=9)が最大尿量であり、投与7日目1202ml/日(n=7)が最少尿量であった。【結論】トルバプタンは、既存の利尿薬を使用している肝硬変による難治性腹水検討症例のうち83.3%に体重減少効果を認めた。高Na血症や腎不全が進行した症例はなく、比較的安全に使用できる薬剤であると考える。しかし、SBPのような感染症がある場合、不応であることが分かった。 |
索引用語 | トルバプタン, 難治性腹水 |