セッション情報 |
研修医セッション(卒後2年迄)
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タイトル |
66:術前画像でsolid pseudopapillary neoplasmが疑われた膵体部癌の一切除例
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演者 |
塩田 沙織(東京大学 医学部 肝胆膵外科) |
共同演者 |
山本 訓史(東京大学 医学部 肝胆膵外科), 青木 琢(東京大学 医学部 肝胆膵外科), 石沢 武彰(東京大学 医学部 肝胆膵外科), 金子 順一(東京大学 医学部 肝胆膵外科), 阪本 良弘(東京大学 医学部 肝胆膵外科), 長谷川 潔(東京大学 医学部 肝胆膵外科), 菅原 寧彦(東京大学 医学部 肝胆膵外科), 國土 典宏(東京大学 医学部 肝胆膵外科) |
抄録 |
症例は53歳女性。2007年、前医にて施行した腹水精査目的のエコーで膵体部に5cm大の嚢胞性病変を指摘されたが、その後画像によるフォローを受けていなかった。定期的な血液検査は受けており2013年3月に軽度の肝酵素上昇を指摘。8月に増悪傾向を認めたため腹部エコー施行し、膵体尾部に内部に充実性成分を伴う8cm大の嚢胞性病変を指摘されたため9月、精査目的に当院消化器内科入院。腹部エコーでは、膵体部~尾部にかけて内部に充実性成分を含む7.3×4.1cmの低エコー領域を認めたが、腫瘤内部の充実部に血流シグナルを認めなかった。EUSでは、膵尾部に6.5×4cm大の腫瘤を認め内部不均一で被膜および内部の石灰化を伴っていた。また嚢胞性部分も認められた。腹部造影CTでは、膵体部から尾部にかけて6cm大の低吸収腫瘤を認め、右側部分には漸増性増強効果を示す充実部が見られ、左側部分には粗大な石灰化を認めた。体尾部主膵管は3mm程度に拡張していた。MRIでは嚢胞内容は古い血液成分と考えられた。以上の画像所見および若年女性であることより膵solid pseudopapillary neoplasm(SPN)と診断し、2013年11月、腹腔鏡補助下脾合併膵体尾部切除術を施行した。術中所見で腫瘍は硬く触知し、左胃動脈に沿って腫瘤と一体化した硬く腫大したリンパ節を触知したため、腫瘤の一部を術中迅速診断に提出したが確定診断は得られなかった。切除検体の病理組織所見は浸潤性膵管癌であった。本症例の画像所見はSPNの特徴を備えており、通常型膵癌を術前に疑うことは困難であった。稀な症例と考えられるため、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
solid pseudopapillary neoplasm, 膵癌 |