セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 09:

術前診断に難渋した小腸GISTの一例

演者 芳賀 慶一(順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科)
共同演者 浅岡 大介(順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科), 澁谷 智義(順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科), 村上 敬(順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科), 長田 太郎(順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科), 野村 収(順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科), 八尾 隆史(順天堂大学附属順天堂医院 人体病理学講座), 渡辺 純夫(順天堂大学附属順天堂医院 消化器内科)
抄録 【症例】65歳、男性【既往歴】虫垂炎術後、高血圧症、前立腺肥大症【経過】生来健康の方。他院で前立腺肥大を指摘され、腹部CT及び腹部MRI検査施行したところ骨盤内に腫瘤性病変を認めたため当科紹介受診となった。腹部造影CT及びMRI検査では直腸膀胱窩に45mm大の小腸に接する腫瘤性病変を認め、腫瘍内部は大半が血腫性部分から成っており一部充実領域を伴っていた。腹部3DCT及び血管造影検査を施行したところ上腸間膜動脈の分岐枝である空腸動脈と連続しており、豊富な血管構造を呈していた。経肛門ダブルバルーン内視鏡を施行したが、可視範囲内に有意な所見は認めなかった。以上の所見より動静脈奇形が原因で慢性に経過した血腫が疑われ、腹腔鏡下小腸部分切除術を行った。腫瘍は暗赤色・軟で、漿膜面に突出するように認め、内部に一部充実成分を伴っているが、大部分は嚢胞状で凝血塊が貯留していた。腫瘍は粘膜下で固有筋層と連続しており、腸管粘膜面には異常所見は認めなかった。免疫染色ではc-kit(+),CD34(+),S-100(-),SMA(-),MIB-1 index<5%であり、最終病理診断は小腸より発生した管外発育型のlow riskのGastrointestinal stromal tumorであった。術後経過は良好であり、術後7日で退院となった。low-riskであったため現在外来で経過観察となっている。【考察】小腸管外発育型GISTは無症状であった場合術前に診断されることは稀であり、腫瘤形成の場合には卵巣腫瘍や血腫との鑑別が重要である。本症例は低悪性であり、腫瘍の広範な壊死性変化よりは、腫瘍内血管の一部破綻による血腫形成が考えられた。無症状の骨盤内腫瘤の症例では小腸GISTも念頭に置く必要がある。
索引用語 小腸GIST, 骨盤内腫瘤