セッション情報 研修医セッション(卒後2年迄)

タイトル 52:

mFOLFOX6療法施行中に高アンモニア血症をきたした1例

演者 武田 武文((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科)
共同演者 岸根 健二((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 矢崎 悠太((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 大久保 悟志((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 佐藤 剛((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 内藤 滋俊((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 吉野 耕平((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 中谷 晃典((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 北島 政幸((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 渡部 智雄((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 落合 匠((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 西村 和彦((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科), 二川 俊二((公財)東京都保健医療公社東部地域病院 外科)
抄録 mFOLFOX6療法は切除不能進行再発大腸癌における標準化学療法の一つであり,現在広く行われている。今回我々は,mFOLFOX6療法中に意識障害をともなう高アンモニア血症を来たした症例を経験したので若干の考察を加え報告する.症例は81歳女性。S状結腸癌穿孔にてS状結腸切除を施行。同時性多発肝転移に対し、外来にてXELOX療法を施行するも、治療開始直後から意欲低下を自覚、家族からも抑うつ様の症状を心配され、休薬/減量を繰り返していた。XELOX療法を3コース施行後、入院での治療を希望され、mFOLFOX6療法に変更となった。入院mFOLFOX6療法開始後、day2の夕方頃より徐々に意識レベルの低下がみられ、day3の早朝にはJCS-300に陥った。血液検査にてアンモニア490μg/dlと高アンモニア血症を認められた。ただちに化学療法を中止とし、分岐鎖アミノ酸製剤の投与およびラクツロースによる浣腸を施行した。治療開始から数時間で徐々に意識レベルの改善が認められ、同日夜には完全に回復し、神経症状の改善も認められた。mFOLFOX6療法の有害事象としては、末梢神経障害,骨髄抑制などが主であるが、稀に高アンモニア血症を来すことがある。原因薬剤としては、オキザリプラチンの可能性もあるが、単剤投与ではフルオロウラシルの報告例しかないこと、およびFOLFIRI療法で同様の報告が散見されることより、フルオロウラシル投与に起因する可能性が高いと考えられた。また、XEROX施行後より訴えのあった、意欲低下/抑うつ症状も高アンモニア血症によるものであった可能性が考えられた。今回、我々はmFOLFOX6療法中に意識障害をともなう高アンモニア血症を来たした症例を経験した。フルオロウラシル投与中に意識障害を認めた際には高アンモニア血症も念頭において診療すべきと考えられた。
索引用語 mFOLFOX6, 高アンモニア血症