セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 23:

病態の改善と共に著明高値を示した腫瘍マーカーが低下した自己免疫性膵炎の1例

演者 三好 正人(横須賀共済病院 消化器病センター 内科)
共同演者 石井 玲子(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 佐藤 綾子(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 松田 浩紀(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 野澤  さやか(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 小島 直紀(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 山本 奈穂子(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 幾世橋  佳(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 伊田 春奈(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 田邊 陽子(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 渡邊 秀樹(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 新井 勝春(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 鈴木 秀明(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 小林 史枝(横須賀共済病院 消化器病センター 内科), 池田 隆明(横須賀共済病院 消化器病センター 内科)
抄録 今回、発症時に腫瘍マーカー(シアルルイスグループ糖鎖抗原)が著明高値を示し、悪性疾患の合併が疑われたが、プレドニゾロン(PSL)治療による病態改善と共にこれらが低下した自己免疫性膵炎(AIP)症例を経験した。症例:79歳、女性。主訴:食思不振、全身倦怠感、黄疸。現病歴:1ヶ月ほど前より特に誘因なく皮膚黄染が出現。その後食思不振、全身倦怠感の出現と増悪を認め近医を受診、黄疸を指摘され当科紹介入院となった。身体所見:眼球結膜と皮膚の黄染著明。検査成績:AST 109 U/l、ALT 160 U/l、T-bil 30.5 mg/dl、ALP 1903 U/l、γ-GTP 480 U/l、CA19-9 4064、Span-1 1100U/ml、DUPAN2 1600以上 U/ml。臨床経過:腹部CTで下部総胆管狭窄、肝内胆管拡張および膵のびまん性腫大を認め、閉塞性黄疸と診断。ERCPで膵管狭細化、下部総胆管の高度狭窄および肝内胆管拡張所見を認め、胆道ドレナージ(ENBD、その後、胆道チューブステントを挿入)施行した。画像所見よりAIPを疑いIgG4を提出したところ、IgG4 1180 mg/dl ( IgG 2547 mg/dl )と著明高値であり、Vater乳頭部の生検でIgG4陽性形質細胞の間質への浸潤を確認した。腫瘍マーカー高値だったことから悪性腫瘍の合併を除外するため下部総胆管狭窄部の生検、更にEUSを追加した。しかし、悪性腫瘍の合併を示唆する所見は得られなかった。このためPSL30mgによる治療を開始した。開始後、下部総胆管狭窄、膵びまん性腫大は改善を示した。また、T-bilを含めた胆道系酵素の正常化とともに、腫瘍マーカーも低下、治療開始約5か月後にはCA19-9 86.9、Span-1 39 U/ml、DUPAN2 52 U/mlと、ほぼ正常化している。考察:AIPの診断では、悪性疾患の除外が重要とされている。良性胆道疾患でも腫瘍マーカーの上昇は報告されているが、本症例の上昇は高度であり、臨床的に示唆に富むものと考え、報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, 腫瘍マーカー