セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 05:

消化管閉塞を来した十二指腸水平部進行癌の1例

演者 久礼 里江(東京女子医科大学 消化器内科)
共同演者 岸野  真衣子(東京女子医科大学 消化器内科), 貝瀬 智子(東京女子医科大学 消化器内科), 長尾 健太(東京女子医科大学 消化器内科), 田原 純子(東京女子医科大学 消化器内科), 小木曽 智美(東京女子医科大学 消化器内科), 谷口 清章(東京女子医科大学 消化器外科), 山田 卓司(東京女子医科大学 消化器外科), 笹川 剛(東京女子医科大学 消化器外科), 山本 雅一(東京女子医科大学 消化器外科), 中村 真一(東京女子医科大学 消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医科大学 消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学 消化器内科)
抄録 62歳、女性。20日前から上腹部痛と嘔吐が出現した。近医からの内服薬による治療では改善せず、徐々に症状が増悪したため当院総合診療科を受診した。腹部X線検査では明らかなイレウス所見は認めなかった。外来で施行した上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部まで観察したが、逆流性食道炎を認めるのみであった。酸分泌抑制薬と胃粘膜保護剤の内服で嘔吐はやや改善したが食餌量は減少し倦怠感が増強、血液データ上、腎障害も認めた。腹部単純CTで胃と十二指腸下行部の拡張を認め、BMI16.6kg/cm2の痩せ型であったことからSMA症候群が疑われ当科に紹介となった。当科に入院後の検査で腎障害は脱水による腎前性障害と診断し補液を行った。胃拡張に対しては経鼻胃管を挿入し排液を行った。腹部造影CTではSMA症候群は否定的で、十二指腸水平部に腫瘤性病変を認めた。十二指腸造影検査を行ったところ十二指腸水平部の閉塞、閉塞部より口側の腸管の拡張を確認した。内視鏡検査を施行したところ十二指腸水平部より肛門側に発赤した腫瘤性病変と病変による狭窄を認めた。生検によりAdenocarcinomaが疑われた。消化器外科に転科し十二指腸切除術を施行した。病理組織学的検査でAdvanced cancer of the duodenum: 24x22mm, type 2, well differentiated adenocarcinoma , depth: SS, int, INFb, ly2, v0, pPM(-), pDM(-), pRM(-)であった。現在、補助化学療法を継続している。十二指腸水平部、上行部は通常の上部消化管内視鏡検査では観察されにくい場所であり、従って同部位の悪性病変はスクリーニング検査で見つかることがきわめて少ない。今回、来院時に施行した内視鏡所見を見直すと、十二指腸下行部に腸管拡張を認めており、その肛門側に閉塞性の病変の存在を迅速に疑うべきであったと考える。
索引用語 十二指腸水平部, 進行癌