セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 25:

膵神経内分泌腫瘍切除後に門脈内腫瘍栓および肝転移再発を来たした1例

演者 高木 知聡(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科)
共同演者 日比 泰造(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 阿部 雄太(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 真杉 洋平(慶應義塾大学 医学部 病理), 板野 理(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 篠田 昌宏(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 北郷 実(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 八木 洋(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 香月 優亮(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 岸田 憲弘(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科), 坂元 亨宇(慶應義塾大学 医学部 病理), 北川 雄光(慶應義塾大学 医学部 一般消化器外科)
抄録 症例は30代男性.8か月前に他院で膵頭部腫瘍に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行.病理組織検査ではホルモン非産生の神経内分泌腫瘍(NET)で,核分裂像2/10 HPF,Ki-67陽性率5%強でNET G2の診断.術後は同院にて経過観察されていたが,門脈内に腫瘍栓を認めたため治療目的で当院紹介.術前のCTとMRIでは門脈本幹と上腸間膜静脈内に早期濃染を示すそれぞれ23mmと8mm大の軟部陰影を2カ所と,S7とS8の肝転移2個,上腸間膜動脈より分岐する右肝動脈周囲の軟部陰影を認め腫瘍の再発を疑った.門脈~上腸間膜静脈切除および再建(右大腿静脈グラフト),右肝動脈周囲郭清,肝S7およびS8部分切除,胆管空腸再吻合術を施行した.術後第4病日に右肝動脈の仮性動脈瘤破裂による腹腔内出血をきたしショックに陥ったが,緊急血管造影でコイル塞栓術を行い止血し得た.その後は腹腔内膿瘍と創感染を認め加療に時間を要したが徐々に全身状態は改善し第65病日に退院.病理組織検査では門脈腫瘍栓と肝転移(なおS8病変は血管腫で肝転移は孤立性)はいずれも原発巣と同様の組織像を呈しsynaptophysin,chromograninA,CD56が陽性,核分裂像3/10 HPF,Ki-67陽性率15%程度でありNET G2、組織学的治癒切除と診断.しかし術後8ヶ月目のCTで残肝再発および骨転移を認めた.文献的考察を加えて報告する.
索引用語 膵神経内分泌腫瘍, 門脈内腫瘍栓