セッション情報 専修医セッション(卒後3-5年)

タイトル 22:

消化管出血を呈した胆嚢十二指腸瘻の一例

演者 大野 一将(公立昭和病院 消化器内科)
共同演者 太田 博崇(公立昭和病院 消化器内科), 平昭 衣梨(公立昭和病院 消化器内科), 矢内 真人(公立昭和病院 消化器内科), 永田 紘子(公立昭和病院 消化器内科), 山地 統(公立昭和病院 消化器内科), 浦牛原 幸治(公立昭和病院 消化器内科), 小野 圭一(公立昭和病院 消化器内科), 小島 茂(公立昭和病院 消化器内科), 武田 雄一(公立昭和病院 消化器内科), 野内 俊彦(公立昭和病院 消化器内科), 川口 淳(公立昭和病院 予防検診科), 白田 剛(公立昭和病院 放射線科)
抄録 症例は94歳、女性、H20年1月総胆管結石性胆管炎で入院した。ERCPを施行し、EST・載石を行った。US/CTで多数の胆石を認めたが、超高齢者・認知症・脳梗塞後・ADLは寝たきりであったため、胆嚢摘出術は施行しなかった。H25年3月に総胆管結石性胆管炎・胆石性胆嚢炎で再入院した。アスピリン内服中であったため、EPBDを施行し総胆管結石の載石を試みたが、ガイドワイヤーが容易に胆嚢内に挿入され胆嚢総胆管瘻が疑われた。全ての結石の載石は困難なため、一部の結石を載石後にENGBD tubeとERBD tubeを留置した。炎症の改善後、ENGBD tubeを抜去して退院となった。H25年7月、食思不振・発熱を主訴に他院に入院したが、同日に吐血したため当院へ搬送となった。上部消化管内視鏡検査で上十二指腸角下面に潰瘍性病変があり、潰瘍底に黒色調の結石と、その隙間から湧出性出血を認めた。結石を可及的に除去すると潰瘍辺縁に出血点を認め、止血鉗子で焼灼止血した。翌日の上部消化管内視鏡検査では瘻孔辺縁からの出血は認めなかったが、瘻孔内の結石を除去すると凝血塊の付着した隆起を認め、凝血塊を除去したところ噴出性出血を認めた。内視鏡的止血は中止して、血管造影を施行して右肝動脈近位部に仮性動脈瘤を認めたため、コイル塞栓術を施行した。胆石の圧迫・刺激による胆嚢十二指腸瘻の形成は時折経験される事があり、その多くは胆石イレウスで発症するとされる。今回のように出血で発症する例は医中誌で9例報告されており、そのうち仮性動脈瘤の合併は1例のみで、Pub Medでも動脈瘤症例は2例のみと稀である。仮性動脈瘤は炎症を背景に生じることが多く、本症例においても慢性胆嚢炎がその成因になったと考えられる。胆嚢十二指腸瘻に伴う消化管出血では瘻孔辺縁からの出血だけでなく、仮性動脈瘤の可能性も忘れてはならないと考えられた。
索引用語 内胆汁瘻, 仮性動脈瘤