セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 41:化膿性尿膜管嚢胞を成因として汎発性腹膜炎に至った成人の1例 |
演者 | 川崎 圭史(旭中央病院 外科) |
共同演者 | 櫻岡 祐樹(旭中央病院 外科), 田中 信孝(旭中央病院 外科), 野村 幸博(旭中央病院 外科), 永井 元樹(旭中央病院 外科), 古屋 隆俊(旭中央病院 外科), 吉田 幸弘(旭中央病院 外科), 石田 隆志(旭中央病院 外科), 赤井 淳(旭中央病院 外科), 市田 晃彦(旭中央病院 外科), 小池 大助(旭中央病院 外科), 瀬尾 明彦(旭中央病院 外科), 福元 健人(旭中央病院 外科), 山田 直也(旭中央病院 外科), 伊藤 橋司(旭中央病院 外科), 須賀 悠介(旭中央病院 外科), 山本 真理子(旭中央病院 外科), 大谷 将秀(旭中央病院 外科), 大橋 雄一(旭中央病院 外科), 菅原 弘太郎(旭中央病院 外科), 鈴木 良夫(旭中央病院 臨床病理科) |
抄録 | 症例は80歳男性。2013年10月臍から下腹部にかけての疼痛が出現し、当院初診以後精査の予定となっていた。翌日、症状の急性増悪があり、当院救急外来受診した。著明な腹膜刺激徴候を認め、汎発性腹膜炎の状態であり、緊急開腹となった。術前のCTでは臍部から膀胱へ連続する膿瘍腔があり、膿瘍壁に石灰化像を認めた。また、腹水を中等量認めた。鑑別診断として魚骨の腸管穿孔による膿瘍形成や、化膿性尿膜管嚢胞が考えられた。 開腹すると、臍部から膀胱頂部に連続する膿瘍が腹腔内へ穿破しており、化膿性尿膜管嚢胞の穿孔と診断した。尿膜管を全て含めるように臍部から膀胱頂部まで尿膜管を切除した。術後経過は良好であり、術後12日で退院となった。病理学的には化膿性尿膜管嚢胞の診断で、悪性腫瘍の合併は無かった。 本症例は、尿膜管遺残のBlichert-Toftによる形態学的な分類では、alternating sinusの型であった。臍部への開口が無いことが、膿瘍の腹腔内への破裂に寄与したと考えられた。膿瘍の切除範囲に関しては、化膿性尿膜管嚢胞自体が30%の割合で再発することや、尿膜管癌の合併の可能性ある為、臍部から膀胱頂部まで切除する必要があると考えられる。化膿性尿膜管嚢胞に男女差はなく,年齢も生後4日から80歳まで広く分布するといわれている。主症状は腹部腫瘤,発熱,腹痛,膀胱症状などであるとされている。本邦では半数で膀胱部分切除されており、小腸合併切除している報告もある。化膿性尿膜管嚢胞の腹腔内穿破に起因する汎発性腹膜炎の報告は稀少であり、文献的考察を添えて報告する。 |
索引用語 | 化膿性尿膜管嚢胞, 汎発性腹膜炎 |