セッション情報 一般演題

タイトル 12:

大腸癌化学療法中に高アンモニア血症による意識障害をきたした一例

演者 佐藤 宗広(新潟市民病院 消化器内科)
共同演者 五十嵐 俊三(新潟市民病院 消化器内科), 相場  恒男(新潟市民病院 消化器内科), 米山 靖(新潟市民病院 消化器内科), 和栗 暢生(新潟市民病院 消化器内科), 古川 浩一(新潟市民病院 消化器内科), 杉村 一仁(新潟市民病院 消化器内科), 五十嵐 健太郎(新潟市民病院 消化器内科)
抄録 【背景】切除不能・進行再発大腸癌に対する化学療法として5-FUおよび様々な抗癌剤が加わり,生命予後の改善を認めている.しかし,時に重篤な副作用をきたすことがあり注意が必要である.今回,mFOLFOX6療法中に高アンモニア血症による意識障害をきたした症例を経験したので若干の文献的考察をふまえて報告する.【症例】70歳代,男性.臍部腫瘤の精査目的に近医を受診.腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)の上昇を認め,多発性肝腫瘍とS状結腸腫瘍を指摘された.臍部腫瘤とS状結腸腫瘍の生検でAdenocarcinoma(tub1)と診断.S状結腸癌による臍転移,肝転移にて当科に紹介され入院.入院中に腸閉塞をきたし人工肛門造設術を施行され,その後mFOLFOX6療法 1コース目開始.有害事象なく経過し,入院後に2コース目開始.投与2日目から嘔気・嘔吐が出現し心拍数が150/分と上昇,またJCS10の意識障害を認めたため化学療法は中止となった.血液検査で高カリウム血症をきたし,グルコース・インスリン療法などにてカリウム,心拍数は改善された.また意識障害も自然に改善された.本人・家族は化学療法の継続を希望され3コース目開始.補液と内服にて高カリウム血症は認めなかったが,投与3日目からJCS100の意識障害を認めた.頭部CTでは意識障害をきたす所見なし,血液検査でアンモニア320μg/dlと高アンモニア血症を認めた.分岐鎖アミノ酸製剤(アミノレバン)投与後,翌日にはアンモニア29μg/dlと正常化し,また意識障害も速やかに改善された.【考察】大腸癌化学療法による高アンモニア血症は高濃度5-FUが原因と考えられており,本症例もmFOLFOX6療法中の発症であった.高濃度5-FU投与中に意識障害をきたした場合は高アンモニア血症を念頭に入れ,迅速な対応が必要であると思われた.
索引用語 高アンモニア血症, 化学療法(5-FU)