セッション情報 一般演題

タイトル 42:

食道内圧測定検査で診断し内視鏡的拡張術が有効であったアカラシアの一例

演者 中村 真一郎(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科)
共同演者 岡村 卓磨(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 小林 聡(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 大工原 誠一(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 福澤 慎哉(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 野沢 祐一(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 奥原 禎久(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 山田 重徳(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 菅 智明(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 村木 崇(信州大学 医学部 附属病院 消化器内科), 新倉 則和(信州大学 医学部 附属病院 内視鏡センター)
抄録 症例は70歳代男性、生来健康であった。6年前から食事の際につかえ感を自覚するようになり、5年間で20kgの体重減少を認めた。嚥下困難が増悪したため前医を受診し、食道造影検査で食道胃接合部の拡張不全とその口側の拡張・蠕動亢進を認めた。上部消化管内視鏡検査では食道胃接合部の狭小化を認め、超音波内視鏡検査で最大12mmの食道壁肥厚を認めた。造影CTやFDG-PETで悪性腫瘍は否定的と考えられた。また、胸部CTでは嘔吐、誤嚥による肺膿瘍の形成も認めた。精査加療目的に当科へ紹介となった。食道壁の超音波内視鏡下穿刺吸引法では好中球浸潤を認めるのみ悪性所見は無く、高解像度食道内圧検査(HRM)を施行したところlower esophageal sphincter圧亢進と、一次蠕動波の消失を認めたため、食道造影検査所見は非典型的であったがアカラシアの亜型と診断した。保存的加療としてジルチアゼム塩酸塩100mg/dayの投与を開始したところ、嚥下困難などの自覚症状の改善を認めたため退院とした。しかし4か月後に再度誤嚥性肺炎を発症したため、十分なinformed consentのもと内視鏡的加療としてバルーン拡張術を施行した。径30mmのバルーンで拡張したところ、食道造影検査では胃内までバリウムがスムーズに流入するようになり、嚥下困難などの自覚症状は大幅に改善し、退院となった。その後ジルチアゼム塩酸塩を中止したが、嘔吐や誤嚥性肺炎は起こさず食道拡張術後8か月現在外来で経過観察中である。食道のつかえ感や嘔吐、嚥下困難などを認め、食道造影検査や上部消化管内視鏡検査で診断の困難な症例では積極的に食道内圧測定を施行すべきと考えられた。
索引用語 食道アカラシア, 高解像度食道内圧検査