セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 27:

当院におけるB型肝炎ウイルス再活性化の検討

演者 荒木 太亮(長野赤十字病院 消化器内科)
共同演者 田中 景子(長野赤十字病院 消化器内科), 徳竹 康二郎(長野赤十字病院 消化器内科), 今井 隆二郎(長野赤十字病院 消化器内科), 三枝 久能(長野赤十字病院 消化器内科), 藤澤 亨(長野赤十字病院 消化器内科), 森 宏光(長野赤十字病院 消化器内科), 松田 至晃(長野赤十字病院 消化器内科), 和田 秀一(長野赤十字病院 消化器内科), 清澤 研道(長野赤十字病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】近年、様々な疾患に対して免疫抑制効果のある生物学的製剤投与の機会が増え、B型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化、特にHBs抗原陰性、HBc抗体あるいはHBs抗体陽性患者からの再活性化によるde novo B型肝炎が注目されている。今回当院におけるHBV再活性化の状況を明らかにし、臨床的検討を加えたので報告する。【対象・方法】核酸アナログ製剤の投与が可能になった2001年1月より2013年1月までの12年間に当科で経験したHBV再活性化例11例を対象とした。再活性化の定義はHBs抗原陰性、HBc抗体あるいはHBs抗体陽性例からのHBV-DNA出現(既往感染例からの再活性化)と、HBVキャリアが免疫抑制・化学療法を受けてHBV-DNAが1log copy/ml以上の上昇を示した症例とした。【結果】11例の内訳は男性8例、女性3例、既往感染からの再活性化が7例、キャリアの再活性化が4例であった。年齢は 30才から82才で、疾患はリンパ腫等の血液疾患が6例、関節リウマチが2例、乳がん1例、自己免疫性肝炎1例、間質性肺炎1例であった。治療では同種骨髄移植2例、末梢血幹細胞移植1例、リツキシマブを含む化学療法3例、ステロイド投与2例、メソトレキセート2例、制吐剤にステロイドを含む化学療法1例であった。治療開始から再活性化までの時期は2ヶ月が最短で、明確にできない例も多く、モニタリングが困難な状況を示していた。肝炎発症は5例で、2004年には劇症化による死亡例が1例認められた。【結語】当院におけるHBV再活性化の状況を明らかにした。モニタリングが十分に行えない例もあり、再活性化予防のガイドラインを遵守するには組織的取り組みも必要と思われた。
索引用語 B型肝炎ウイルス, 再活性化