セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 30:

Desulfovibrio desulfuricansを含む混合感染による細菌性肝膿瘍の1例

演者 山崎 智生(信州大学 医学部 消化器内科)
共同演者 小松 通治(信州大学 医学部 消化器内科), 柴田 壮一郎(信州大学 医学部 消化器内科), 木村 岳史(信州大学 医学部 消化器内科), 森田 進(信州大学 医学部 消化器内科), 梅村 武司(信州大学 医学部 消化器内科), 田中 榮司(信州大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は70歳代の女性。関節リウマチ、メニエール病、不安神経症にて加療を受けていたが、リウマチ治療薬の内服歴は無い。2012年6月頃より微熱を自覚し、7月初旬に38℃後半の発熱と意識レベルの低下を認めたため当院へ救急搬送となった。来院時38.8℃の発熱と129/分の頻脈を認めたが血圧低下は認めず、意識レベルはE4V1M6であった。診察上、胸腹部に異常所見は認めなかった。血液検査ではWBC 6520 /μl(好中球 65.3%)、CRP 13.7 mg/dl、軽度の肝機能異常を認め、MEPM 2 g/日の投与を開始した。第2病日に意識レベルは改善したものの収縮期血圧が80 mmHg台まで低下し、腹部造影CTにて肝S7に25mm大の辺縁に造影効果のある腫瘤を認め、肝膿瘍に伴う敗血症性ショックと診断した。内科的治療を継続し第10病日に膿瘍穿刺ドレナージを施行した。入院時の血液培養からE.coli・Desulfovibrio desulfuricans、穿刺排膿液からE.coli・Desulfovibrio desulfuricans ・Streptococcus anginosus・Slackia exiguaが検出された。混合感染による細菌性肝膿瘍と考え、各菌株の薬剤感受性を確認後にSBT/ABPC 6g/日へ変更した。炎症反応は基準値内に低下し、画像検査上肝膿瘍も縮小傾向を認めたため、第30病日に退院となった。Desulfovibrio desulfuricansは自然界では土壌や地下水中に広く分布する偏性嫌気性グラム陽性桿菌で、本邦では2011年に初めて臨床検体から同菌種が報告された。本症例では16S rRNA遺伝子解析によりDesulfovibrio desulfuricansを同定し、混合感染による細菌性肝膿瘍と診断した。臨床的に非常に稀な症例と考えられ、文献的考察を含め報告する。
索引用語 肝膿瘍, 重複感染