セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 23:

流入路動脈および流出路門脈の2ルートからの塞栓術を要した膵十二指腸動脈瘤破裂の1例

演者 佐藤 里映(新潟市民病院 消化器内科)
共同演者 和栗 暢生(新潟市民病院 消化器内科), 荒生 祥尚(新潟市民病院 消化器内科), 五十嵐 俊三(新潟市民病院 消化器内科), 佐藤 宗広(新潟市民病院 消化器内科), 相場 恒男(新潟市民病院 消化器内科), 米山 靖(新潟市民病院 消化器内科), 古川 浩一(新潟市民病院 消化器内科), 杉村 一仁(新潟市民病院 消化器内科), 五十嵐 健太郎(新潟市民病院 消化器内科)
抄録 【緒言】腹部内臓動脈瘤は稀な疾患であるが、そのうち膵十二指腸動脈瘤(PDAA)は約2%とさらに低頻度である。しかしその破裂は出血性ショックを来し、致死的となりうる重篤な疾患である。今回我々は門脈を流出路とするPDAA破裂に対して、流出路動脈および流入路門脈の2ルートから塞栓術を施行したのでここに報告する。【症例】79歳の男性。嘔気と腹痛にて他院に入院。入院4日目のCTで入院時に見られなかった腹腔内血腫と瘤状の拡張血管が認められ、PDAA破裂の疑いで当科に転院搬送された。緊急腹部血管造影の際には血管外漏出像は認めなかったが、25mmのPDAAおよび同部で門脈系への短絡流出が認められた。腹腔動脈起始部狭窄(正中弓状靭帯による圧迫)を伴うPDAAの門脈穿破と診断し、急遽、経皮経肝門脈アプローチを追加し、瘤内packingと門脈流出路側のコイル塞栓(distal isolation)を施行して、下膵十二指腸動脈側からは流入路側のコイル塞栓(proximal isolation)を施行。術後合併症なく、21日で軽快退院した。【考察】本例は腹腔動脈起始部狭窄によるPDAAと考えらえた。しかし4日の間にPDAAが急速に形成されて破裂の際に門脈系へ穿破したのか、もともと存在していた動門脈瘻が瘤化したのかについては、瘤の血管壁を病理学的に検討することなしに確定不可能で推測の域を出ない。しかし、門脈系への流出をみたPDAAの報告はなく、貴重な症例と考え報告した。治療も緊急的に流出路門脈側からのアプローチを併用して成功しており、臨機応変な対応が必要といえた。
索引用語 膵十二指腸動脈瘤, 内臓動脈瘤