セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 28:

最近当院で経験したGenotype AのB型急性肝炎の3例

演者 溜田 茂仁(諏訪赤十字病院 消化器科)
共同演者 上條 敦(諏訪赤十字病院 消化器科), 進士 明宏(諏訪赤十字病院 消化器科), 太田 裕志(諏訪赤十字病院 消化器科), 武川 建二(諏訪赤十字病院 消化器科), 山村 伸吉(諏訪赤十字病院 消化器科)
抄録 【症例1】40歳女性。倦怠感、褐色尿を自覚し近医で肝機能障害(AST 635 IU/l, ALT 1231 IU/l, Total Bil 1.77 mg/dl)を指摘され当院紹介となった。健康食品摂取あり、当初薬物性肝障害の可能性も考えられたが、HBs抗原、IgM-HBc抗体とも陽性、HBV-DNA 5.9 log copy/mlで、B型急性肝炎と診断した。肝生検結果も急性肝炎に矛盾しない結果であった。発症から約3週間で慢性化兆候なく肝機能は速やかに改善し、HBs抗体陽性となり治癒と判断した。【症例2】52歳女性。倦怠感出現、近医で肝機能障害指摘(AST 751 IU/l, ALT 764 IU/l, Total Bil 1.33 mg/dl)され当院紹介となった。HBs抗原、IgM-HBc抗体とも陽性、HBV-DNA 7.6log copy/mlで、B型急性肝炎と診断した。肝生検結果も急性肝炎に矛盾しない結果であった。肝機能障害は遷延したが4週間程でHBe抗体陽性、HBV-DNA未検出となり慢性化兆候なく改善を認めた。【症例3】43歳女性。倦怠感出現し近医で肝機能障害(AST 127IU/l, ALT 231 IU/l, Total Bil 0.89 mg/dl)を指摘され当院紹介となった。HBs抗原、IgM-HBc抗体とも陽性、HBV-DNA >9.1 log copy/mlで、B型急性肝炎と診断した。肝生検結果も急性肝炎に矛盾しない結果であった。5週間の入院で肝機能は改善傾向であったが、HBe抗原陽性、HBe抗体陰性、HBs抗体陰性、HBV-DNA高値でB型肝炎は慢性化と考えられたため、外来にてエンテカビル投与を開始した。3症例ともgenotype A型で、最近の海外渡航歴なく、不特定の相手との性的接触は否定した。【考察】B型肝炎ウイルスは、近年都市部を中心にgenotype A型が増加しつつある。感染経路として性行為に伴う水平感染が増加している。今回の3症例も特定できていないが性的接触の可能性が高い。genotype Aは他の型と比べ、HBV-DNA量が多く、比較的肝障害が軽度で、HBs抗原陽性期間が長く肝炎が遷延する傾向があることが報告されている。このような特徴から、都市型と言われていたgenotype Aが長野県においても例外でなく今後増加が予想される。
索引用語 B型肝炎, genotype A