セッション情報 一般演題

タイトル 13:

FOLFOX6療法施行中に間質性肺炎を発症した1例

演者 小林 由夏(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 杉谷 想一(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 上野 亜矢(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 藤原 真一(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 大関 康志(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科), 飯利 孝雄(立川綜合病院 消化器センター 消化器内科)
抄録 【はじめに】FOLFOX療法は、進行・再発大腸がんの一次治療、二次治療、補助化学療法としてひろく使われている。呼吸器系副作用の頻度は0.2%と報告される。【症例】79歳、男性【主訴】咳嗽【現病歴】平成23年7月、便潜血陽性と貧血を指摘され当院受診した。下部内視鏡検査にて2型盲腸腫瘍を認め、9月回盲部切除術を行った。術後、0-IIa重複大腸がんおよび1群リンパ節転移を認めたため、術後補助化学療法として11月よりFOLFOX6療法を開始した。平成24年5月、8クール目施行時に軽度の咳嗽と、胸部CT上淡い間質影を認めた。2週間後咳嗽および呼吸困難感が出現、胸部レントゲン上間質影が増強したため当院呼吸器内科入院となった。【経過】入院時採血上白血球数は正常、LDH, KL-6およびSP-Dの上昇を認め薬剤性間質性肺炎と診断した。ステロイドパルス療法を開始後症状はやや改善、1週間後に2回めのパルス療法を行った。以後ステロイドを漸減し、肺線維症も合併し間質影の吸収は不良であったが在宅酸素療法を導入の上退院となった。その後外来で徐々に酸素を減量し、平成25年3月には酸素療法から離脱した。【考察】抗癌剤による間質性肺炎は細胞毒性によって誘発されるものが多いとされ、数週間から数年で発症する。オキサリプラチンの市販後調査での間質性肺炎は6例において10週目、死亡例4例中3例が10週目に発症しており、FOLFOX療法における間質性肺炎の発症はオキサリプラチンの総投与量に依存する可能性がある。また、間質性肺炎全例が男性であり、高齢や多剤併用療法、喫煙歴や既存の肺疾患に留意する必要がある。治療の基本は早期発見、早期対応であり胸部レントゲンの定期的施行や初期症状を見逃さずに適切な休薬を行うことが重要と考えられる。
索引用語 FOLFOX療法, 薬剤性間質性肺炎