セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 45:難聴で発症した進行食道癌による癌性髄膜症の一例 |
演者 | 小松 信俊(市立甲府病院 消化器内科) |
共同演者 | 山口 達也(市立甲府病院 消化器内科), 津久井 雄也(市立甲府病院 消化器内科), 早川 宏(市立甲府病院 消化器内科), 小林 祥司(市立甲府病院 消化器内科), 門倉 信(市立甲府病院 消化器内科), 雨宮 史武(市立甲府病院 消化器内科), 大塚 博之(市立甲府病院 消化器内科), 榎本 信幸(山梨大学医学部第一内科) |
抄録 | 症例は76歳男性。右肺結節の経過観察のため当院呼吸器内科に通院中。2012年9月頃から難聴、歩行障害が出現し耳鼻科に通院したが症状は増悪傾向で、翌月からは次第に視力障害も出現した。2ヶ月後には右耳はまったく聞こえなくなり、頭痛も出現してきたため、頭部の造影CT検査を施行したところ、右後頭葉に転移性脳腫瘍を疑う8mm大の病変が認められた。肺の結節が転移を起こすような病変とは考えにくい状況であったため、翌週にPET-CTを撮影したところ、右肺結節へのFDGの集積は軽度で、むしろ縦郭のリンパ節に多数のFDGの集積を認めた。その頃から嚥下障害が出現したため、上部消化管内視鏡検査を行ったところ中部食道に1/3周性のヨード不染帯を伴った不整な隆起性病変があり、生検により扁平上皮癌と診断された。多発するリンパ節転移と脳転移を伴った進行食道癌の疑いで当科へ紹介された。受診時はほとんど聴力が消失しており、筆談により意思疎通が可能な状態でPS 3であった。眼科で両側の視力低下(左眼は全盲)を指摘された。頭部MRI検査で癌性髄膜症の可能性を指摘され、腰椎穿刺を行ったところ、髄液細胞診で角化傾向を呈する上皮由来の異型細胞(Class ∨)が見られ、食道癌の髄膜播種に矛盾しない所見であった。急激に進行する脳神経症状に対して全脳照射(3Gy×10回)を行った。その後も嚥下機能低下や意識障害など病状はさらに進行し、診断から約1ヶ月後に永眠された。癌性髄膜症は肺癌、乳癌、胃癌などで報告が散見されるものの医中誌で検索しうる限り食道癌に関しては小細胞癌の一例の報告のみである。一般的に癌性髄膜症の予後は数週間~3月程度と非常に予後不良な病態であるが、文献的には全脳照射+全脊髄照射やMethotrexate(MTX)の髄注が有効であったとする報告がある。今回、癌性髄膜症による神経症状をきっかけに食道癌が発見された稀な一例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 癌性髄膜症, 食道癌 |