セッション情報 一般演題

タイトル 34:

ヨード過敏症、慢性腎不全を伴った肝細胞癌に対し、透析施行下に炭酸ガス血管造影およびガドリニウムを用いた肝動脈塞栓術(CO2-DSA+Gd-TAE)を施行した1例

演者 宮林 千春(千曲中央病院 内科)
共同演者 大西 雅彦(千曲中央病院 内科), 窪田 芳樹(千曲中央病院 内科), 池野 龍雄(厚生連篠ノ井総合病院外科), 松下 剛(信州大学医学部画像医学講座), 山田 哲(信州大学医学部画像医学講座), 角谷 眞澄(信州大学医学部画像医学講座)
抄録 【症例】70歳男性【現病歴】前医でC型慢性肝炎、糖尿病の加療中、2005年(63歳時)にS7に肝細胞癌(HCC)を指摘され肝部分切除を受けた。2007年糖尿病性慢性腎不全にて透析導入し肝動脈塞栓術(TAE)を5回行った。2010年頃よりヨード過敏症が出現しその後のTAEは困難となった。2011年5月にS3,S4,S6,S7(再発)部分切除後を施行。術後のMRIにてHCC再発を認めUFTを投与したが嘔吐にて継続不可能となり紹介。【初診時現症】身長160cm、体重53.2kg。左手首にシャント造設痕、腹部に手術痕を認めた。肝を正中線上2横指触知。腹水なし、下腿浮腫なし。【経過】初診時生化学検査はRBC 342x104/ml、Hb 11.0g/dl、WBC 3100/ml、 Plt. 31.5 x104/ml、 AST 25U/L、ALT 32U/L、Alb 3.8g/dl、BUN 59mg/dl、Cr 10.3mg/dl、 AFP 652.7ng/ml 、PIVKAII 318mAU/ml、PT 104%、HCV genotype 1b、FBS 118mg/dl、HbA1c(JDS) 6.0%であった。紹介時造影MRIにて多発HCC(S3:3.5cm、S4:3.0、S5:2.8、S7:3.7、S8:3.5)を認めた。ヨード過敏症、慢性腎不全を伴うHCC (T3,N0,M0,stageIII)、Child-Pugh A(5)であり、炭酸ガス血管造影(CO2-DSA)およびガドリニウム肝動脈塞栓術(Gd-TAE)とラジオ波焼灼術(RFA)にて加療する方針とした。2012年4月CO2注入器(ガスター:旭計器社製)を用い、通常撮影条件下でCO2 20mlを固有肝動脈から注入し血管走行を確認した。その後マイクロカテーテルを右肝動脈前枝まで先進させGdで腫瘍造影後ジェルパートにて塞栓した。評価EOBMRIにて治療効果ありと診断された。5月上旬にS4 HCCをRFA、5月末に左葉HCCをCO2-DSA+Gd-TAEした。7月末のEOBMRIでは2回のTAEとRFAはそれぞれ壊死効果を認めたが残存HCCが増大していた。8月にS8およびS3+4 HCCに対して3回目のCO2-DSA+Gd-TAEを行った。【考察】ヨード過敏症を伴う肝疾患患者においては,ヨード造影剤を用いた検査や治療が著しく制限される。今回用いた透析施行下CO2-DSA+Gd-TAEは腎不全合併HCC治療において有用で安全であった。
索引用語 炭酸ガス血管造影(CO2-DSA), ガドリニウム肝動脈塞栓術(Gd-TAE)