セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 01:

小腸部分切除術を要した狭窄型小腸炎の1例-自験例を含めての検討-

演者 五十嵐 俊三(新潟市民病院 消化器内科)
共同演者 杉村 一仁(新潟市民病院 消化器内科), 和栗 暢生(新潟市民病院 消化器内科), 佐藤 理映(新潟市民病院 消化器内科), 荒生 祥尚(新潟市民病院 消化器内科), 佐藤 宗広(新潟市民病院 消化器内科), 相場 恒男(新潟市民病院 消化器内科), 米山 靖(新潟市民病院 消化器内科), 古川 浩一(新潟市民病院 消化器内科), 五十嵐 健太郎(新潟市民病院 消化器内科), 須藤 翔(新潟市民病院 消化器外科), 岩谷 昭(新潟市民病院 消化器外科), 山崎 俊幸(新潟市民病院 消化器外科), 渋谷 宏行(新潟市民病院 病理科), 橋立 英樹(新潟市民病院 病理科), 三間 紘子(新潟市民病院 病理科)
抄録 小腸部分切除術を要した狭窄型小腸炎の1例を経験した.本症例を含めた自験例3例での比較検討,文献的考察を加えて報告する.症例は81歳,女性.高血圧症,2型糖尿病,脂質異常症の診断で他院にて外来加療されていた.下腹部痛,血便を主訴に当科を紹介受診した.主訴に加え身体所見では高度肥満症(BMI 40.3 kg/m2)を認め,血液検査で炎症反応高値,CTで小腸・腸間膜の浮腫と上腸間膜動脈起始部での高度石灰化所見を認めた.虚血性腸炎,感染性腸炎の診断で入院し,保存的加療にて経過観察とした.一時は摂食を再開できるまで改善したが,28病日に小腸イレウスを発症した.経鼻的イレウス管留置後の同造影検査で回腸に漏斗状狭窄所見を認め,狭窄型虚血性小腸炎と診断した.狭窄程度は高度であり,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.回腸には分節状の狭窄があり,組織学的には粘膜下層主体の線維化,腸間膜付着部とは無関係のUl-II潰瘍,形質細胞・リンパ球浸潤を伴う肉芽形成を認めた.基礎疾患,臨床所見,術前画像検査所見と併せて狭窄型虚血性小腸炎と診断した.狭窄型虚血性小腸炎は比較的稀な疾患であり,動脈硬化性基礎疾患を有する高齢者に多く発症する.自験例3例では,平均年齢は76.7歳,男女比は1:2であったが文献より男性優位に発症するとされる.初期症状は2例で腹痛,血便を認めた.基礎疾患ではいずれも加療を要する動脈硬化性疾患を有していた.また経過として全例で小腸部分切除術を施行している.本疾患は一過性型と狭窄型に分類されるが,後者は一時的に腹痛,嘔気等の初期症状の軽快が得られても狭窄病変は緩徐に進行し,最終的に完全閉塞に陥ることが多い.保存的治療では治癒することができず,外科的切除が必要となることから本疾患への認識が重要と考えられる.
索引用語 小腸炎, 虚血