セッション情報 一般演題

タイトル 40:

肝臓由来のChronic expanding hematomaの一切除例

演者 小松 範也(まつもと医療センター 松本病院 内科)
共同演者 古田 清(まつもと医療センター 松本病院 内科), 三井 健太(まつもと医療センター 松本病院 消化器内科), 松林  潔(まつもと医療センター 松本病院 消化器内科), 宮林 秀晴(まつもと医療センター 松本病院 消化器内科), 松村 任泰(まつもと医療センター 松本病院 外科), 中川  幹(まつもと医療センター 松本病院 外科), 小池 祥一郎(まつもと医療センター 松本病院 外科)
抄録 Chronic expanding hematomaは、全身のいたるところに発生するが、日本では胸腔内の報告が多い。今回肝臓由来の症例を経験したので報告する。【症例】64歳、女性。17歳時、列車に接触し、肝破裂、膿胸の既往歴あり。H24年9月、腰痛にて近医を受診。脊柱管狭窄症の精査目的で施行したMRIで肝腫瘤を指摘され当院紹介となった。身体所見では右側胸部に手術痕を認めるが、右季肋部に自発痛、圧痛なし。血液検査では貧血なく、凝固系は正常範囲、LDH軽度上昇、CEA、CA19-9は正常。MRIでは腫瘤内部は、T1、T2像ともにモザイク状に信号が見られた。腹部超音波では、腫瘤内部に泥状物質の貯留が疑われた。胸腹部造影CTにて、腫瘤壁に石灰化を認め、内部は不均一な濃度が充満しており、造影剤で染まる結節が複数存在した。腹部血管造影では、腫瘤内部に、右肝動脈の分枝からのpoolingないしstainが見られた。ERCPでは胆管は造影出来ず、DIC-CTを施行したところ、腫瘤は胆嚢外で、胆嚢の右外背側に接していた。10月12日腫瘤を含む肝部分切除と胆摘術が行われた。腫瘤は肝実質と連続しており、肝部分切除が必要であった。腫瘤は肉眼的には線維性皮膜に覆われ境界明瞭で、内部は柔らかく出血を伴っていた。組織学的には、石灰化を伴う硝子様の線維性皮膜の形成が見られ、内部は小石灰化を伴う好酸性無構造物と網状のフィブリンの混在からなる組織で有核細胞成分はほとんど含まれていなかった。辺縁部では比較的新しい出血が見られ、赤血球の形態が確認出来る部位もあった。Chronic expanding hematomaとして矛盾しない所見であった。【考察】17歳時の肝損傷後に出現したChronic expanding hematomaと考えた。文献的考察を加えて報告する。
索引用語 hematoma, 血腫