セッション情報 一般演題

タイトル 46:

術前化学療法により根治切除が施行し得た食道胃接合部癌の1例

演者 小山 佳紀(長野県立木曽病院 外科)
共同演者 小出 直彦(長野県立木曽病院 外科), 西川 明宏(長野県立木曽病院 外科), 河西 秀(長野県立木曽病院 外科), 久米田 茂喜(長野県立木曽病院 外科), 伊東 哲宏(長野県立木曽病院 内科), 中村 麗那(長野県立木曽病院 内科), 北原 桂(長野県立木曽病院 内科), 飯嶌 章博(長野県立木曽病院 内科), 小林 基弘(信州大学病理学講座), 下条 久志(信州大学病理学講座)
抄録 【緒言】術前化学療法(CPT-11+CDDP⇒S-1+CDDP)を施行し、根治切除が施行し得た食道胃接合部癌の1例を報告する。【症例】患者は76歳の女性で、嚥下困難を主訴に来院した。EGDにて食道胃接合部に狭窄を認め、かろうじてスコープの挿入が可能で、噴門直下に不整な潰瘍形成を認めた。下部食道から胃体上部前壁の3型病変と判断し、生検にて低分化腺癌の診断を得た。CTでは遠隔臓器転移はないが、胸部下部食道から食道胃接合部、そして胃体上部の全周性の壁肥厚を認め、一部心嚢や肝外側区との境界が不明瞭となり浸潤の可能性が考慮された。また胸部下部食道周囲-噴門周囲、そして左胃動脈周囲と腫大した多数のリンパ節を認めた。以上より食道胃接合部癌 (Siewert type II)、cT4a N3 M0 : cStage IIIC (TNM)の診断にて術前化学療法を選択した。経口摂取が困難な状況であり、まずCPT-11+CDDP療法を施行した。2コース施行後に経口摂取が可能となったため、S-1+CDDP療法に変更して2コース施行した。化学療法開始16週間後、EGDおよびCTにて原発巣の縮小、転移リンパ節の縮小を認め、手術(開腹右開胸、胸部下部食道噴門側胃切除、胸腔内胃管再建術)を施行した。病理組織学的診断はypT3 N2 M0: ypStage IIIBであった。術後経過は順調で、術後1か月よりS-1内服を開始した。【考察】経口摂取が困難な進行食道胃接合部癌症例であったが、術前化学療法により病変の縮小を認めてR0の手術が可能であった。食道胃接合部癌に対する標準化学療法はNCCNではDCF療法とされているが、本邦ではいまだ定まっていない。本例では胃癌に用いられているレジメンによってR0切除が可能となった。
索引用語 食道胃接合部癌, 術前化学療法