セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 37:

腫瘍内出血をきたし術前診断が困難であった高分化肝細胞癌の一例

演者 望月 徳光(市立甲府病院 消化器内科)
共同演者 雨宮 史武(市立甲府病院 消化器内科), 早川 宏(市立甲府病院 消化器内科), 津久井 雄也(市立甲府病院 消化器内科), 門倉 信(市立甲府病院 消化器内科), 山口 達也(市立甲府病院 消化器内科), 大塚 博之(市立甲府病院 消化器内科), 進藤 邦明(山梨大学 医学部 第1内科), 中山 康弘(山梨大学 医学部 第1内科), 井上 泰輔(山梨大学 医学部 第1内科), 前川 伸哉(山梨大学 医学部 第1内科), 坂本 穣(山梨大学 医学部 第1内科), 榎本 信幸(山梨大学 医学部 第1内科)
抄録 症例は75歳男性。アルコール性肝硬変、高血圧症で近医に定期通院しており6カ月に一度の間隔で腹部超音波検査をうけていた。2012年6月の超音波検査の際には特に指摘はなかったが、同年12月の超音波検査で肝S8に中心に低エコー領域を伴う30mm大の高エコー結節を認め当科紹介となった。【患者背景】飲酒歴 日本酒5合/日25-55歳、2合/日55歳-75歳 推定積算飲酒量 1800Kg、日本住血吸虫症既往あり 【検査所見】WBC 7700/μl、RBC 450万/ul、Plt 12.9万、AST 37 IU/l、ALT 27 IU/l、ALP 524 IU/l、γ-GTP 764 IU/l、T.Bil 0.8 mg/dl、Alb 3.6 g/dl、BUN 20mg/dl、Cr 1.53 mg/dl、eGFR 35.3 ml/min、PT 92.0%、glu 96mg/dl、HbA1C(NGSP) 5.3%、 ICG R15 17.0%、AFP 17.8% ng/ml、L3分画5.3%、PIVKA-II 44mAU/ml、CEA 3.4 ng/ml、CA19-9 27.4 U/ml、HBs抗原(-)、HBs抗体(-)、HBc抗体(-)、HCV抗体(-)、IgG 1700 mg/dl、IgA 1118 mg/dl、IgM 87 mg/dl、ANA(-)、AMA(-) 【画像所見】<腹部造影CT>肝S8に境界やや不明瞭な30mmの結節を認める。結節内部には10mmほどの壊死成分を疑わせるような造影されない領域を伴い、周囲の充実成分は動脈相で淡い低濃度となり平衡相でも低濃度であった。 <腹部単純MRI>(腎機能不良のためEOB-MRIは施行せず。)肝S8の結節はT1強調像では淡い低信号、T2強調像で高信号を呈し、内部はT2強調像でさらに強い高信号であった。拡散強調像では結節は全体的に高信号を呈した。【経過】上記の検査結果から内部に壊死を伴ったCCCと診断し、肝予備能は良好であり肝前区域切除を行う方針とした。切除標本では径28mmの境界明瞭な内部に出血を伴う黄色調の腫瘍を認め、病理組織は不規則な索状構造をとる高分化なHCCの所見であった。【考察】医学中央雑誌で我々が検索しえた範囲では、腫瘍内出血をきたしたHCC10例のうち8例が病理検討されており中分化6例、低分化2例であり高分化HCCで腫瘍内出血をきたした報告は認めなかった。高分化HCCでも腫瘍内出血をきたす可能性があり、画像診断において念頭におく必要がある。
索引用語 肝細胞癌, 腫瘍内出血