セッション情報 一般演題

タイトル 39:

診断に苦慮した転移性肝神経内分泌癌の1例

演者 鷹野 敦史(山梨県立中央病院)
共同演者 長堀 薫(山梨県立中央病院), 丸山 正裕(山梨県立中央病院), 中山 裕子(山梨県立中央病院), 高橋 和徳(山梨県立中央病院), 古屋 一茂(山梨県立中央病院), 須貝 英光(山梨県立中央病院), 羽田 真朗(山梨県立中央病院), 宮坂 芳明(山梨県立中央病院), 中込 博(山梨県立中央病院), 池上 淳(山梨県立中央病院 婦人科), 小山 敏雄(山梨県立中央病院 病理科)
抄録 症例は50歳女性。2009年に子宮頸部腺癌を発症し、同時に腹膜播種、大動脈リンパ節転移を認めため4b期の診断となった。手術は施行せず、放射線化学療法にて治療。2010年5月に肝S3に単発肝腫瘍出現。化学療法を再開して、一時縮小するも2012年5月にS3肝腫瘍の再増大を認めた。ラジオ波焼灼術を施行したが、腫瘍の残存があり再増大あり。CT,PET検査で肝病変以外はコントロールされているため、子宮頸部腺癌の肝転移の診断で肝外側切除術を施行。肉眼的には40×35×25mmの結節癒合型の腫瘤を認め、割面は赤褐色のラジオ波焼灼術による壊死部と灰白色のVariableな腫瘍部位を認めた。病理学的にはクロマチン増量を伴った類円形ないし長円形の核を有する異型細胞が索状、充実性に増殖していた。免疫染色ではSynaptophysinびまん性陽性、ChromograninAが少量陽性であり、神経内分泌癌の診断なった。子宮頸癌の病理は腺癌であり、PET、CT、上部、下部消化管内視鏡検査でも異常がなかったため、当初は肝原発神経内分泌癌を強く疑った。しかしながら、化学療法の効果があったなど臨床的経過と一致しないところがあったため、子宮頸部の生検組織を再度見返してSynaptophysin,ChromograninAの免疫染色を施行したところ、ごく少量の陽性を示す充実性の成分が確認できた。かつ、子宮頸部の生検組織、肝腫瘍に対して、HPVのin situ hybridizationを施行して、ともにドット状の陽性像を認めた。以上より子宮頸部癌は神経内分泌癌を伴った腺癌(HPV陽性)であり、その神経内分泌癌成分が肝臓に転移したものと考えらえた。神経内分泌癌の肝転移は稀ではないが、上記のように診断に苦慮した転移性肝神経内分泌癌を1例経験したため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 転移性肝神経内分泌癌, 子宮頸部神経内分泌癌