セッション情報 | 一般演題(研修医(卒後2年迄)) |
---|---|
タイトル | 09:filiform polyposisと裂孔形成を伴いクローン病との鑑別に苦慮した潰瘍性大腸炎の1例 |
演者 | 山田 沙季(済生会新潟第二病院 消化器内科) |
共同演者 | 岩永 明人(済生会新潟第二病院 消化器内科), 青木 洋平(新潟県立新発田病院内科), 味岡 洋一(新潟大学第一病理), 酒井 靖夫(済生会新潟第二病院 外科), 石原 法子(済生会新潟第二病院 病理診断科), 本間 照(済生会新潟第二病院 消化器内科), 渡邉 雄介(済生会新潟第二病院 消化器内科), 関 慶一(済生会新潟第二病院 消化器内科), 石川 達(済生会新潟第二病院 消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院 消化器内科), 上村 朝輝(済生会新潟第二病院 消化器内科) |
抄録 | 患者は19歳女性。15歳時、腹痛下痢で1年に4kg体重減少し30kgとなったため神経性食思不振症を疑われ、紹介入院となった。大腸内視鏡検査(CF)で上行結腸に下掘れ潰瘍多発、粘膜橋形成、横行結腸に縦走潰瘍を認め、全大腸に膿性白点を伴う発赤浮腫状粘膜をび漫性に認めた。病変の変化は右側大腸に高度であったが潰瘍性大腸炎(UC)、全体腸炎型と診断した。ステロイドとLCAP併用療法で寛解した。3年後再燃しステロイド増量したが改善せず、CFでは上行結腸が狭窄しscopeは通過しなかった。注腸では上行結腸に炎症性ポリープが多発し狭窄気味で裂孔を認めた。回腸末端約3cmにわたり高度狭窄を認めた。LCAPを併用したところ2回目までは一旦軽快傾向を示したが、その後再燃増悪し3回目には反応せず腹膜刺激症状が出現した。CTで回盲部、上行結腸周囲に膿瘍を認め、緊急手術となった。術中所見では右下腹壁に膿瘍壁が固着し、右結腸はこれと連続して側腹腹膜と固着し、炎症性に腫脹した硬結として触知した。UCよりクローン病(CD)が疑われる所見と考えられ、結腸亜全摘、回腸S状結腸吻合術が施行された。切除標本では盲腸~横行結腸にfiliform polyposisがみられ、盲腸~上行結腸に漿膜下層に達するfissuring ulcerが多数形成され、漿膜下層に膿瘍を認めた。背景粘膜の組織像は粘膜下層までの潰瘍廏痕と再生上皮がびまん性に認められた。クローン病に特徴的な非乾酪性類上皮細胞肉芽腫やリンパ管の拡張などはみられなかった。終末回腸の狭窄は膿瘍による周囲からの締め付けによるものと考えられた。以上からfiliform polyposisと裂孔を伴ったUCと診断した。術後は、遠位S状結腸~直腸が残存しており、5ASA製剤継続投与下に注意深く経過観察中である。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, filiform polyposis |