セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 50:

腫瘍塞栓性肺微小血管障害(PTTM)を来たし急速な経過をたどった腹膜漿液性乳頭状腺癌の1剖検例

演者 田中 裕貴(済生会新潟第二病院 消化器内科)
共同演者 渡邉 雄介(済生会新潟第二病院 消化器内科), 堀米 亮子(済生会新潟第二病院 消化器内科), 本間 照(済生会新潟第二病院 消化器内科), 石原 法子(済生会新潟第二病院 病理診断科), 窪田 智之(済生会新潟第二病院 消化器内科), 岩永 明人(済生会新潟第二病院 消化器内科), 関 慶一(済生会新潟第二病院 消化器内科), 石川 達(済生会新潟第二病院 消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院 消化器内科), 上村 朝輝(済生会新潟第二病院 消化器内科)
抄録 70歳代、女性。既往歴は高血圧症のみ。3年前から時々労作時の呼吸困難を自覚し、近医を受診していたが胸部単純写真、心電図上は異常を指摘されなかった。1週間前から急激に症状が増悪し歩行困難となり当科受診。胸部単純写真で心陰影と縦隔陰影の拡大を認め、肺性心あるいは右心負荷が疑われた。胸部CTでは鎖骨上窩、縦隔、大動脈周囲に大小多数のリンパ節腫大を認めた。血管内に血栓、塞栓は無く、肺野にも異常は認めなかった。腹部骨盤部CTでは、ダグラス窩に腫瘤と左卵巣付近に充実性腫瘤を認めた。悪性リンパ腫や転移性腫瘍などが疑われ、入院第1,2病日に上下部消化管内視鏡検査を行ったが、特記すべき異常所見を認めなかった。病理組織確定のため第3病日に頚部リンパ節から穿刺吸引細胞診を行った。腺癌と診断された。PSは急速に不良となり化学療法の使用は困難と考えられた。増悪する呼吸困難に対して全身ステロイド投与を試みたが効果はなかった。第7病日にはさらに呼吸状態が悪化し、胸部単純写真では縦隔拡大を認めたが肺野は異常なく、微小な腫瘍塞栓による肺塞栓が疑われた。塩酸モルヒネによる緩和治療を開始したが、同日死亡された。剖検の結果、腹膜漿液性乳頭状腺癌による腫瘍塞栓性肺微小血管障害(PTTM)が死因と考えられた。腹膜癌、PTTMは比較的稀な疾患、病態であり、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腹膜漿液性乳頭状腺癌, 腫瘍塞栓性肺微小血管障害