セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 33:肝内シャント由来の肝性脳症に対するIVRの有用性 |
演者 | 佐藤 光明(山梨大学 第一内科) |
共同演者 | 加藤 亮(山梨大学 第一内科), 倉富 夏彦(山梨大学 第一内科), 小松 信俊(山梨大学 第一内科), 辰巳 明久(山梨大学 第一内科), 三浦 美香(山梨大学 第一内科), 進藤 邦明(山梨大学 第一内科), 中山 康弘(山梨大学 第一内科), 井上 泰輔(山梨大学 第一内科), 前川 伸哉(山梨大学 第一内科), 坂本 穣(山梨大学 第一内科), 榎本 信幸(山梨大学 第一内科), 岡田 大樹(山梨大学 放射線科), 荒木 拓次(山梨大学 放射線科), 荒木 力(山梨大学 放射線科) |
抄録 | シャント由来の肝性脳症は保存的加療では難治性のことがあり、近年そのような症例でIVRの有効例が報告されている.なかでも肝内シャントに対してシャント閉塞術を行った報告は多くない.今回我々は肝内シャント由来の肝性脳症の患者に対しIVRを行った2例について報告する.症例1は70歳男性。以前より検診で非B非Cの軽度肝機能異常を指摘されている.数年前から自動車運転ミス、性格変化(易怒性)を認め他院受診。認知症疑いで当院精神科紹介されたが認知機能検査で低下を認めなかった.血液検査でNH3高値であり、CTで門脈左枝と左肝静脈の発達した肝内シャントを認め、シャント由来の肝性脳症の診断となった。アミノ酸製剤、ラクツロースによる保存的加療を行ったがNH3:100以上が持続し性格変化も改善が見られなかった.金属コイルによりシャント閉塞術を行い、すみやかにNH3は正常範囲に低下し、凝固能も改善傾向を認め、良好な治療効果を得られた。症例2は67歳女性。DM、虚血性心疾患で入院精査した際、肝S5/8に20mmのHCC指摘されRFA施行.この際CTで前区域に小さなAP-シャントを指摘されていた.RFA施行7か月後、意識障害で受診.頭部CTで器質的な異常なく、NH3高値であり、CTでAPシャントの発達と、動脈相で門脈右枝の早期濃染を認めた。エコーでは門脈右枝は遠肝性の血流を呈しており、APシャント由来の肝性脳症と診断した.またRCサイン陽性の胃食道静脈瘤を認め、静脈瘤に対しEIS、EVLを施行した後、IVRによるシャント閉塞術を行った.血管造影では多数の細いAPシャントが存在し、完全な閉塞術は広範囲に及ぶため部分的にシャント閉塞術を行い、シャントは一部残存したが治療後すみやかにNH3の低下がみられた.内科的治療で難治性のシャント由来の肝性脳症に対するシャント閉塞術は比較的侵襲が少なく肝機能の改善が期待でき、病態に応じて考慮すべき治療法と考えられる.長期経過、予後について今後症例の蓄積と検討を要する. |
索引用語 | 肝性脳症, シャント |