共同演者 |
清水 明(信州大学第一外科), 大久保 洋平(信州大学第一外科), 福島 健太郎(信州大学第一外科), 北川 敬之(信州大学第一外科), 野竹 剛(信州大学第一外科), 酒井 宏司(信州大学第一外科), 古澤 徳彦(信州大学第一外科), 本山 博章(信州大学第一外科), 横山 隆秀(信州大学第一外科), 小林 聡(信州大学第一外科), 宮川 眞一(信州大学第一外科) |
抄録 |
Paraganglioma(PG)は傍神経節細胞に由来する腫瘍で75%は非機能性とされる.今回,肝腫瘍との鑑別に苦慮したPGの1例を経験した.症例:87歳女性既往歴:胃癌(2003年幽門側胃切除術施行.M, Less, type0-IIb+IIc, sig, t1b(sm1), infγ, ly0, v0, no, m0, p0, cy0, h0, stageIA)高血圧症(2005年~内服加療,control良好)緑内障,白内障,メニエル病.喫煙歴・飲酒歴・輸血歴なし.現病歴:2012年11月の腹部造影CTにて,肝尾状葉に径25mmの腫瘤を指摘され当科紹介となった.血液検査:肝逸脱酵素上昇(AST 76IU/L,ALT 69IU/L)を認めたが,T.bil値,腎機能,血算,凝固能は正常.CEA 5.1mg/mL,CA19-9 74.9U/mLと上昇.HBsAg(-),HBsAb(+),HBeAg(-),HBeAb(-),HBcAb(+),HCVAb(-).画像検査:腹部造影CT:肝尾状葉辺縁に,2.5x1.5cmの類円形で辺縁に造影効果を有し中心部は造影効果に乏しい腫瘍を認めた.腫瘍は肝表より突出しており,門脈本幹,下大静脈を圧排していた.腹部EOB-MRI:腫瘍はT1WIで肝実質より低信号,T2WIで不均一な高信号を呈した.2005年5月前医CTでは明らかな腫瘍は認めなかった. 画像検査上,肝外性病変を完全には否定できなかったが,腫瘍辺縁にbeak signを認め,肝内胆管癌もしくは胃癌肝転移が疑われた.手術所見:腫瘍は径3cm大の弾性硬腫瘤として触知.腹腔動脈右縁に存在し,肝尾状葉を背尾側から圧排していた.肝との明らかな連続性は認めず,肝外性病変と判断し腫瘍摘出術を行った.術中,異常高血圧などの循環動態変化は認めなかった.病理組織所見:類円形の核と好酸性・顆粒状の豊富な細胞質を持つ細胞が索状・小胞巣状に配列して増殖.ChromograninA(+),Synaptophysin(+)より PGと診断された.文献的考察を加えて報告する. |