セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
19:膵癌の経過中にFusobacterium mortiferumによる急性気腫性胆嚢炎を発症した一例
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演者 |
須藤 貴森(安曇野赤十字病院 消化器内科) |
共同演者 |
樋口 和男(安曇野赤十字病院 消化器内科), 望月 太郎(安曇野赤十字病院 消化器内科), 一條 哲也(安曇野赤十字病院 消化器内科) |
抄録 |
症例は62歳男性。狭心症に対して冠動脈バイパス術の既往があり、高血圧、高脂血症、糖尿病のため内服治療中であった。X年4月上旬から腹満感、下腹部痛が出現し当科紹介となった。腹部造影CTにて膵体部に3cm大の腫瘤を認め、ERCPにて膵体部膵管の不整な狭窄像、尾側膵管の拡張を認めた。膵管ブラシ細胞診class5と併せて膵癌と診断した。また脾動脈浸潤、腹膜播種を認め、Stage4bの状態であった。手術適応外であり、5月17日から化学療法(GEM1600mg 3投1休)を開始した。5月19日に38℃の発熱、腹痛が出現し、腹部の圧痛、WBC増多およびCRP上昇、腹部CTで腸間膜脂肪濃度の上昇を認め、細菌性腹膜炎と診断し、CPZ/SBT 2g/日の投与したところ症状は軽快した。また6月2日、7月28日にも同様の症状がみられたが、抗生物質投与にて軽快した。同じく化学療法後の8月31日から再度発熱、腹痛が出現したため、CPZ/SBT 2g/日を開始した。血液培養ではFusobacterium mortiferumを検出した。腹部CTにて気腫性胆嚢炎を認め、9月11日にPTGBDを施行した。胆嚢内容液からは同菌は検出されなかった。9月10日~23日にCLDM 1800mg/dayを投与したところ軽快した。その後、腹膜播種による腹水、イレウスを発症し、10月19日に永眠された。Fusobacterium属は,無芽胞グラム陰性嫌気性桿菌であり,口腔、女性性器、消化管などに常在し、歯科領域感染症やLemierre症候群の原因菌として知られている。また近年Fusobacterium variumと潰瘍性大腸炎、Fusobacterium nucleatumと大腸癌との関連が指摘されている。中でもFusobacterium mortiferumによる感染症は頻度が少なく、他のFusobacterium属の菌とも形態的な違いもあり、報告は極めてまれである。医中誌の検索ではFusobacterium属による胆嚢炎自体も2例と報告は少ない。最近の知見も含めて報告する。 |
索引用語 |
胆嚢炎, Fusobacterium mortiferum |