セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 14:

孤立性脳転移を契機に発見された直腸癌の2例

演者 望月 加奈(山梨大学医学部 消化器外科)
共同演者 森 義之(山梨大学医学部 消化器外科), 飯野 弥(山梨大学医学部 消化器外科), 須藤 誠(山梨大学医学部 消化器外科), 柴 修吾(山梨大学医学部 消化器外科), 土屋 雅人(山梨大学医学部 消化器外科), 藤井 秀樹(山梨大学医学部 消化器外科)
抄録 大腸癌の脳転移は約1%とまれであり、約80%に他臓器転移を伴う。今回われわれは、他臓器転移を伴わない脳転移を契機に発見された直腸癌を2例経験したので報告する。【症例1】46歳、女性。一過性の右上肢筋力低下、失語を認め近医受診し、MRIで造影効果を伴う多発性脳腫瘍と周囲の浮腫を認めた。当院脳外科紹介受診し、原発巣検索のためのFDG-PETで直腸に集積を認め、当科紹介となった。以前から便秘、血便を認めた。下部消化管内視鏡検査で直腸に2型病変を認め、生検で高分化腺癌と診断された。脳転移による症状が出ていたため、ガンマナイフ治療を先行し、3週間後、直腸癌に対し低位前方切除術を施行した。病理結果は、低分化腺癌が優位に増殖し、pN0、ly1、v1であった。術後化学療法は施行していないが、術後2年再発を認めていない。【症例2】74歳、女性。左半身の脱力を自覚し、進行するため近医受診し、MRIで造影効果を伴う単発性脳腫瘍と周囲の浮腫を認めた。当院脳外科紹介受診し、転移性腫瘍が疑われたが、麻痺が進行するため、準緊急で腫瘍摘出術を施行した。病理結果は、低分化な上皮性腫瘍で転移性腫瘍と診断された。下部内視鏡検査で直腸に3型病変を認め、生検で低分化腺癌、直腸原発とその脳転移で矛盾ない所見と診断された。脳転移切除3週間後、直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行した。病理結果は、低分化腺癌、pN3、ly3、v3であった。術後脳転移切除部にサイバーナイフ治療を追加した。痙攣が継続し、全身状態を考慮して術後化学療法は施行しなかった。術後6か月のCTで多発脳、肝転移、リンパ節転移を認めた。緩和医療に移行し、術後8ヵ月で死亡した。
索引用語 大腸癌, 脳転移