セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 25:

脾類上皮嚢腫の1手術例

演者 鈴木  和博(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科)
共同演者 川井田 博充(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科), 渡辺 光章(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科), 牧 章(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科), 雨宮 秀武(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科), 河野 寛(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科), 松田 政徳(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科), 藤井 秀樹(山梨大学 医学部 附属病院 第一外科)
抄録 症例は69歳女性、健診でCA19‐9が42.5U/mlと軽度上昇を指摘され当院内科を受診した。CT上腫瘤は15mm、円形で明らかな造影効果を認なかった。MRIではT1強調画像で高信号、T2強調画像で低信号、DWIでも低信号であった。腫瘍の発生部位は脾門部または膵尾部と考えられ、その鑑別は困難であった。脾類上皮嚢腫を第一に疑ったが膵嚢胞性腫瘍との鑑別は困難であり、十分なインフォームドコンセントの後手術を施行した。術中所見でもエコーを含め鑑別は困難であり、膵尾部に硬結を認めたためこれを切除した。明らかな嚢胞性病変は摘出標本には存在せず、脾内に腫瘤を認めたため脾臓摘出術を施行した。病理組織学的所見では脾腫瘤は大小の腔形成を認め、内宮面を重層扁平上皮が覆っていた。周囲には部分的に好中球の集簇を認めた。膵組織には膠原線維の増生を認めた。脾嚢腫の発生頻度は剖検例で0.076%と報告されており、その発生はまれである。分類はMcClureらのものが一般的に用いられ、真性と仮性に大きく分類される。類上皮嚢腫は真性のなかでも約30%となっている。若年女性に多く、血清中CA19‐9上昇を示す例も報告される。今回我々は脾類上皮嚢腫の1手術例を経験したので若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 脾類上皮嚢腫, CA19‐9