セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 37:

消化器病医が施行する嚥下内視鏡検査の実際

演者 藤原 直幸(昭和伊南総合病院 消化器病センター)
共同演者 堀内  朗(昭和伊南総合病院 消化器病センター), 多田 治代(昭和伊南総合病院 消化器病センター), 一瀬 泰之(昭和伊南総合病院 消化器病センター), 黒河内 明子(昭和伊南総合病院 消化器病センター), 加藤 尚之(昭和伊南総合病院 消化器病センター), 梶山 雅史(昭和伊南総合病院 消化器病センター)
抄録 【目的】消化器病医は日本の多くの施設で誤嚥性肺炎の治療や内視鏡的胃瘻造設術を担当しているが,摂食嚥下障害の評価や治療に携わることは少ないと思われる。当院では消化器病医が言語聴覚士とともに嚥下内視鏡検査(VE) を積極的に施行しているのでその実際を報告する。【方法】対象は当院にて嚥下スクリーニング検査(改訂水飲みテスト)にて陽性であったためVEを施行した症例。当院におけるVEは、4%塩酸リドカインを鼻腔内に噴霧後、座位の姿勢で経鼻内視鏡検査にて使用されるオリンパス社製GIF-N260あるいは富士フイルム社製EG530Nを鼻腔より挿入し、内視鏡画像をビデオ録画しながら消化器病医が言語聴覚士ともに実施する。VEを施行した症例の臨床像、経口摂取可能と判定された症例およびその時の食事形態、経口摂取に影響する因子についてretrospective に検討した。【結果】2006年5月より2011年6月の期間にVEを実施した症例は458例(男285例(62%)、平均年齢80歳(39-97歳)。大半の症例は認知症あるいは脳血管障害を有していた。VE検査により経口摂取可能と判定された症例は268例(59%)。その可能と判定された食事形態はトロミ調整食品(トロミ剤)を使用した嚥下調整食が237例(88%)、常食が31例であった。その237例中、ペースト状の食事形態である嚥下調整食初期レベルで経口摂取可能と判定された症例は76%(181/237)であった。VE時、検査開始時の唾液貯留や検査食の残留を認めない症例では経口摂取可能と判定されることが多かった。【結論】消化器病医が言語聴覚士とともに経鼻内視鏡検査と同様の手技で施行するVEにより経口摂取可能かどうかの判定や適切な食事形態の判断が可能であった。今後、高齢化に伴い摂食嚥下障害者の増加が予想されるので内視鏡的胃瘻造設術に関与する消化器病医は経鼻内視鏡を利用したVEについても検討してみる価値はあると思われた。
索引用語 嚥下機能, 嚥下内視鏡検査