セッション情報 ワークショップ14(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫

タイトル 内W14-8:

上部消化管内視鏡検査における細径内視鏡の挿入法(経口法・経鼻法)および反射部位別での循環動態、自律神経機能、受容性の比較検討

演者 曽我部 正弘(香川県立がん検診センター・消化器科)
共同演者 岡久 稔也(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・消化器内科学), 山ノ井 昭(香川県立がん検診センター・消化器科)
抄録 【目的】細径内視鏡は、通常内視鏡に比べ循環動態への影響が少なく、特に経鼻法は嘔気反射が少ないことから急速に普及している。しかし、細径内視鏡の経口法(O法)、経鼻法(N法)でも嘔気反射が強い症例は存在する。今回我々は、細径内視鏡の挿入法別(O法・N法)および嘔気反射部位別での循環動態、自律神経機能、受容性について比較検討した。【方法】対象は当センターでの細径内視鏡検診受診者50名(O法26名、N法24名)。細径内視鏡はオリンパス社製XP260NまたはN260を使用し、挿入時の嘔気反射部位により咽頭型、舌型、反射なし型の3群に分類した。循環動態は内視鏡検査前、1分後、3分後、終了直後に収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、脈拍数(P)、酸素飽和濃度(SpO2)を測定し、自律神経機能は心拍変動におけるパワースペクトル解析で、受容性はVASによるアンケート調査で評価した。【成績】内視鏡挿入1分後のSBP、DBP、Pの変化はO法がN法に比べ大きかった(P<0.05)。副交感神経活動の指標とされるHFの変化はO法がN法に比べ大きかった(P<0.05)が、交感神経活動の指標とされるLF/HFの変化や受容性について有意差は認められなかった。O法咽頭型、N法咽頭型では循環動態、自律神経機能、受容性について差は認められなかった。O法舌型はN法咽頭型と比べ3分後のSBP上昇を認めた。またO法舌型はO法咽頭型、N法咽頭型に比べ受容性が悪い傾向を示した。【結論】細径内視鏡N法は細径内視鏡O法に比べ、循環動態、自律神経機能に対して負荷が少なく受容性も良好であることが確認された。しかし、細径内視鏡O法およびN法の咽頭型は今回の検討で有意な差は認められなかったことから観察、操作性、前処置の時間短縮の点からO法の選択を、またO法舌型はN法や細径内視鏡専用マウスピース(エンドリーダー)を使用することを次回細径内視鏡検査時に検討すべきと考えられた。
索引用語 上部消化管内視鏡検査, 細径内視鏡