共同演者 |
小山 恒男(佐久総合病院 胃腸科), 友利 彰寿(佐久総合病院 胃腸科), 高橋 亜紀子(佐久総合病院 胃腸科), 篠原 知明(佐久総合病院 胃腸科), 岸埜 高明(佐久総合病院 胃腸科), 久保 俊之(佐久総合病院 胃腸科), 山田 崇裕(佐久総合病院 胃腸科), 宮田 佳典(佐久総合病院腫瘍内科), 竹花 卓夫(佐久総合病院外科), 山本 一博(佐久総合病院外科) |
抄録 |
症例は60歳代、男性。胃穹窿部前壁に粘膜集中像を伴う黄色調の浅い陥凹性病変を認め、UL合併のadenocarcinoma,tub2,T1a(M)と診断した。穹窿部前壁は水がたまりやすく近接しづらい部位であり、瘢痕合併もあることから、ESDは可能であるが偶発症のリスクが高いと判断された。そこで十分なICを行った上で同病変に対しNEWSを行う方針とした。挿管・全身麻酔管理下に1.内視鏡を用いてマーキングを行い、次に内腔側からマーキング部をナイフで押した状態で腹腔鏡で漿膜面を観察し、漿膜上にマーキングを行った。2.内視鏡的にグリセオールを粘膜下層に局注し、腹腔鏡でマーキング外側の漿膜・筋層を全周切開した。次に,病変を内反させながら病変周囲の健常部の漿膜・筋層を手縫いで縫合した。3.内視鏡で粘膜を全周切開し、漿膜筋層切開部に至るまで粘膜下層を剥離して、病変を全層性に一括切除し経口的に回収した。手術時間は6時間41分、出血量は50mlだった。術後経過は良好で合併症はなく、術後5日後より経口摂取を開始し、9日後に退院となった。病理組織学的診断ではadenocarcinoma,tub2>>tub1,T1a(M),ly0,v0,HM0,VM0,0-IIc+uls,24×18mm(in 38×32mm),U,Antと診断された。胃全層切除術においてLaparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery(LECS)の有用性が報告されているが、創を開放するため癌を播種させる可能性が否定できない。NEWSやCLEAN-NETは腹腔と胃内腔を交通させることなく胃病変を全層切除する術式である。ともに粘膜切開線と筋層切開線がずれる危険を伴うが、NEWSでは内視鏡下に粘膜切開を行うため、病巣を正確に切除可能という利点がある。NEWSはESD困難な早期胃癌に対する、有力な内視鏡下手術の1つであり、文献的考察を含めて報告する。 |