セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 19:

胆道出血を契機に見つかった胆嚢癌の1例

演者 榎本 貴士(立川綜合病院 消化器センター内科)
共同演者 大関 康志(立川綜合病院 消化器センター内科), 杉谷 想一(立川綜合病院 消化器センター内科), 上野 亜矢(立川綜合病院 消化器センター内科), 藤原 真一(立川綜合病院 消化器センター内科), 小林 由夏(立川綜合病院 消化器センター内科), 飯利 孝雄(立川綜合病院 消化器センター内科), 大矢 敏裕(立川綜合病院 消化器内視鏡科), 小林 寛(立川綜合病院 病理科)
抄録 症例は83歳の女性で発熱と息苦しさを認め近医を受診し、貧血と心雑音を認めたため精査目的に当院を紹介受診した。心エコーにて重度僧帽弁閉鎖不全症を認め、血液検査では貧血と肝胆道系逸脱酵素の軽度上昇を認めた。腹部造影CT検査で胆嚢の腫大と胆嚢底部に結石を認めた。胆嚢管~胆嚢頸部は拡張し胆嚢頸部は造影効果を示す結節性病変を認め、MRIで胆嚢頸部病変は拡散強調像で高信号を認め、胆嚢癌が疑われた。腫大した胆嚢内腔はT2強調像で軽度低信号、T1強調像で高信号を呈し、胆嚢内は血液により充満していると考えられた。ERCPでは、十二指腸乳頭部の開口部は開大し凝血塊の流出を認め、胆管内はミミズ様の血腫を認めた。胆嚢管は凝血塊のため描出されなかった。胆汁の細胞診はclass3であった。以上より、胆道出血を合併した胆嚢癌が疑われたため、手術を行うこととした。手術は胆嚢摘出術+肝床切除術を行った。胆嚢内は血性胆汁が充満しており、胆嚢頸部に70×45mmの隆起性病変を認めた。病理組織学的診断では、乳頭浸潤型の高分化型管状腺癌(乳頭浸潤型 tub1>pap)を認めたが、肝床浸潤は認めなかった。また、腫瘍に明らかな露出血管は認めなかったが、比較的血管が豊富な乳頭状腫瘍であり、腫瘍からの出血が疑われた。本症例は貧血を契機に発見された胆道出血を伴った胆嚢癌でありまれな症例と考えられた1例である。若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 胆嚢癌, 胆道出血