セッション情報 | 一般演題(研修医(卒後2年迄)) |
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タイトル | 13:Segmental arterial mediolysisが成因と考えられた脾動脈瘤破裂の1剖検例 |
演者 | 根布屋 悟(済生会新潟第二病院 消化器内科) |
共同演者 | 本間 照(済生会新潟第二病院 消化器内科), 石原 法子(済生会新潟第二病院 病理診断科), 渡邉 雄介(済生会新潟第二病院 消化器内科), 関 慶一(済生会新潟第二病院 消化器内科), 岩永 明人(済生会新潟第二病院 消化器内科), 阿部 聡司(済生会新潟第二病院 消化器内科), 石川 達(済生会新潟第二病院 消化器内科), 菅野 智之(済生会新潟第二病院 消化器内科), 井上 良介(済生会新潟第二病院 消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院 消化器内科) |
抄録 | 手術などに伴わない脾動脈瘤破裂は、男性に多い動脈硬化によるものや、経産婦における成因不明の変化によるものなどが原因として考えられてきたが、近年segmental arterial mediolysis, SAMが注目されている。今回われわれは、ショック状態で搬送され、緊急CTで脾動脈瘤破裂と上腸間膜動脈近位部解離性動脈瘤を認め、急激な転機をたどった1例を経験し、剖検の機会を得た。症例は51歳、男性。上腹部痛を主訴に救急搬送された。痛みの局在は不明瞭で、苦悶のため身の置き所がない様子で盗汗著明であった。腹壁は軟、反跳痛は見られなかった。来院時、橈骨動脈を触れなかったが、外液の輸液を開始したところ、収縮期血圧は100mmHgを保てるようになり橈骨動脈も触知可能となった。CTでは脾動脈近位部に軽度高吸収の腫瘤を認め、腫瘤内に造影剤の漏出を認めた。上腸間膜動脈近位部にもflapを伴う径の拡大を認めた。帰室後に意識レベルが低下しCPAとなった。すぐにCPRを開始したが反応せず死亡確認した。脾動脈瘤は瘤破裂による出血性ショックを生じた後、網嚢内に血液が貯留し一時的に止血され循環動態が安定するが、その後腹腔内に再破裂し重篤な状態となるdouble rupture phenomenonが知られている。本症例もこの現象が生じたと考えられる。SAMは腹部大動脈から分岐する中型筋性動脈に好発し、中膜融解により解離性動脈瘤を形成し、多くの場合破裂に至る急性疾患である。本例でも剖検の結果、脾動脈以外の中型の腹腔内動脈にも異常が認められ、segmental arterial mediolysisが背景に存在したものと考えられた。 |
索引用語 | Segmental arterial mediolysis, 脾動脈瘤破裂 |