セッション情報 一般演題

タイトル 33:

嚢胞壁に石灰化を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍の1例

演者 河久 順志(新潟大学 医歯学総合病院 消化器内科)
共同演者 塩路 和彦(新潟大学 医歯学総合病院 光学医療診療部), 山本 幹(新潟大学 医歯学総合病院 光学医療診療部), 小林 正明(新潟大学 医歯学総合病院 光学医療診療部), 成澤 林太郎(新潟大学 医歯学総合病院 光学医療診療部), 青柳 豊(新潟大学 医歯学総合病院 消化器内科), 高野 可赴(新潟大学 医歯学総合病院 消化器外科), 黒崎 功(新潟大学 医歯学総合病院 消化器外科), 梅津 哉(新潟大学 医歯学総合病院 病理部)
抄録 症例は70歳代の男性。2008年8月、人間ドックの腹部超音波検査にて膵嚢胞を指摘され当科紹介。腹部CTにて膵体部に32mm大の嚢胞壁に卵殻状の石灰化を伴う嚢胞性腫瘤を認めた。ERCPで主膵管と嚢胞の交通を確認、膵管内には粘液と思われる透亮像を認めた。以上より嚢胞壁に石灰化を伴うという点でややatypicalではあるが、分枝型の膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断。明らかな悪性所見は認めず、膵液細胞診でもClass IIIであったため、経過観察の方針となった。以後定期的にCT、MRI、EUSで経過観察されていたが徐々に嚢胞径が増大。2012年9月、CTにて壁在結節は認めないものの、大きさが54mmまで増大した。EUSにて嚢胞内に粘液と思われるデブリ様エコーは認めるものの壁在結節は指摘されなかった。膵液細胞診もClass IIIであり明らかな悪性所見は得られなかった。しかし、上部消化管内視鏡検査にて嚢胞が胃を圧排しており、胃に穿破するリスクも考えられたため手術適応と考えた。当初膵体尾部切除を予定していたが、術前に行ったERCPで膵頭部主膵管からの生検にて腫瘍細胞の存在が疑われたため膵全摘術の方針となった。2012年11月、手術施行。術中迅速組織診でも膵頭部主膵管に腫瘍細胞の存在を認めたため、予定通り膵全摘術が施行された。最終診断は嚢胞内腔の上皮と主膵管の一部に種々の異型と乳頭状増殖を認めたものの浸潤した領域は認めず、Intraductal papillary-mucinous adenoma (IPMA)と診断された。嚢胞壁には石灰化を認め、一部に骨化を伴っていた。膵管内乳頭粘液性腫瘍で嚢胞壁に石灰化を伴うことは稀であり、貴重な症例と考えられたので報告する。
索引用語 IPMN, 石灰化