セッション情報 | 一般演題(研修医(卒後2年迄)) |
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タイトル | 26:WDHA症候群を呈したVIP産生膵内分泌腫瘍の1例 |
演者 | 三宅 望(新潟市民病院消化器内科) |
共同演者 | 古川 浩一(新潟市民病院消化器内科), 林 雅博(新潟市民病院消化器内科), 和栗 暢夫(新潟市民病院消化器内科), 倉岡 直亮(新潟市民病院消化器内科), 小川 光平(新潟市民病院消化器内科), 五十嵐 俊三(新潟市民病院消化器内科), 佐藤 宗広(新潟市民病院消化器内科), 米山 靖(新潟市民病院消化器内科), 相場 恒夫(新潟市民病院消化器内科), 杉村 一仁(新潟市民病院消化器内科), 五十嵐 健太郎(新潟市民病院消化器内科), 橋立 英樹(同病理科) |
抄録 | 症例は30歳代、男性。主訴は水様下痢、体重減少、筋力低下。現病歴では5ヶ月前から下痢症状出現、増悪。近医にて内服治療を受けるも軽快せず当科紹介。外来腹部CTにて膵腫瘍、多発肝転移腫瘍を認め精査加療目的に入院。臨床所見、血液生化学所見からは血管作動性腸管ポリペプチド(以下VIP)1210pg/ml と高値を示し、VIP産生腫瘍による水様下痢低カリウム血症無胃酸症候群(以下WDHA)症候群が疑われた。肝腫瘍生検を施行し、synaptophysin(+)、chromogranin A (+)、gulucagon(-)、inshulin(-)、somatostatin(-)、prolactin(-)の腫瘍組織が確認された。以上より症候性非切除膵島腫瘍にてオクトレチドを開始。投薬による下痢症状の一時的な改善傾向は認めたが再増悪。CVポート増設にて大量輸液(一日の輸液量5000ml-7000ml、K 240-320 mEq、NaCH3 80-1000mEq)および内服重曹6g、グルコン酸カリウム(4mEq/g)9gを継続し、在宅療養可能となり、復職した。しかし、VIP値は高値を持続し、病勢コントロールを目標にEverolimus併用を試みるもGrade 3の口内炎にて休止。肝転移巣に対し肝動注を開始するも抗癌剤による有害事象にて中断となる。その後も種々の化学療法を試みるも奏功は得られなかった。高度の下痢が継続し、電解質異常による入退院を繰り返し、治療開始後25カ月目に腎前性腎不全、代謝性アシドーシス、臀部蜂か織炎、真菌性敗血症、DICにて永眠された。VIP産生膵内分泌腫瘍は希少であり、切除不能の場合は治療に難渋するといわれる。診療上示唆に富む症例と考えられ報告する。 |
索引用語 | pNET, WDHA症候群 |