セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 70:

イレウスを生じなかったパテンシーカプセル滞留の一例

演者 日原 優(飯田市立病院 消化器内科)
共同演者 高橋 俊晴(飯田市立病院 消化器内科), 持塚 章芳(飯田市立病院 消化器内科), 木畑 穣(飯田市立病院 総合内科), 白籏   久美子(飯田市立病院 総合内科), 岡庭 信司(飯田市立病院 消化器内科), 水上 佳樹(飯田市立病院 消化器外科), 堀米 直人(飯田市立病院 消化器外科), 中村 喜行(飯田市立病院 消化器内科)
抄録 パテンシーカプセル(PPC)はPillCam®SB2カプセル(CE)による小腸内視鏡検査に先立ちCE通過性の確認目的に使用されるが、PPCそのものの滞留によるイレウス発症も報告されている。今回、小腸の通過性は良好であったものの、イレウス症状を起こすことなく長期間結腸内にPPCが滞留した1例を経験したので報告する。
【症例】30歳代男性。Peutz-Jeghers 症候群に伴う腸重積にて7歳時、17歳時に開腹、ポリープ切除術、34歳時に直腸癌に対する低位前方切除術(直腸S状結腸端側吻合)、多発小腸ポリープに対する開腹ポリープ切除術の既往がある。【経過】CEによる小腸ポリープ検索に先立ち、PPCを内服。31時間後来院時までに排便無く目視による排泄確認が出来ず、腹部X線検査で左側横行結腸に原型を留めたまま存在することを確認し小腸開通性ありと判定。便秘傾向であり直腸S状結腸吻合部での通過性確認も必要と考え、CEは延期した。当日下剤内服し翌日受診したが排便なく56時間後に腹部X線検査を実施。PPCは下行結腸へ移動していた。吻合部での通過を確認できないためCEは実施せず、8日目に再度X線検査を実施。PPCは原型のまま直腸S状結腸吻合部付近に存在した。この間、便通異常や腹部症状は認めず、通常の食事を摂取していた。同日GE60mlで前処置しCSを施行。吻合部が狭小化しておりCF-H260AIが通過せず15mmまでバルーン拡張を行った。吻合部より口側に挿入したところ、端側吻合の盲端側結腸内にほぼ原型の形状を留めたPPCを認めた。PPCは把持鉗子で容易に変形し回収しえた。【考察】PPCは時間経過にて軟化し変形することで消化管狭窄部位を通過するか、通過不能ならイレウス症状を起こすものと思われるが、本症例では端側吻合の盲端側に留まったため変形せず無症状で経過し、排泄されなかったものと思われる。【結論】小腸通過性ありと判定できても、大腸通過性確認を必要とする場合がある。PPCの滞留部位によってはイレウスを生じない場合がある。
索引用語 パテンシーカプセル, 術後吻合部狭窄