抄録 |
【症例】46歳タイ人女性。既往歴:特記事項なし。輸血歴:なし。手術歴:43歳時にタイで豊胸術。薬物使用歴:なし。刺青:40歳時に日本で刺青。現病歴:会社の検診で肝機能異常を指摘され当院を受診。AST 36, ALT 52, HCV抗体陽性で、C型慢性肝炎と診断した。HCVセログループは判定不能だったが、Genotype測定で3a型陽性。HCV-PCR 5.9LogIU/mLと高ウイルス量だったが、Genotype 3aはIFNへの反応性が良好であるとの報告からGenotype 2高ウイルス量に準じて、Peg-IFNα-2b+Ribavirin併用療法を行った。体重からPeg-IFNα-2b 80μg、Ribavirin 600mgで投与を開始し、投与開始から2週でHCV-RNAは陰性化した。投与4週から貧血のためにRibavirinを400mgに減量、6週から好中球減少のためにPeg-IFNα-2bを40μgに減量したが、24週の治療を完遂し、SVRが得られた。【考察】日本におけるHCV感染例のほとんどはGenotype 1b、2a、2bであり、輸入血液製剤による一部の感染例を除き、その他のウイルス型は非常に稀である。一方、海外においてはウイルスの分布には地域性があり、Genotype 3や6が高度に浸透している地域もある。海外での感染や外国人労働者の増加により、今後、日本国内でも1b,2a,2b以外のHCVに遭遇する機会も増えることが予想されるため、示唆に富む症例と考え報告する。 |