セッション情報 一般演題

タイトル o-05:

単孔式腹腔鏡下手術で摘出した胆嚢多発ポリープに合併した線毛性前腸性肝嚢胞の1例

演者 北村 祥貴(石川県立中央病院)
共同演者 黒川 勝(石川県立中央病院), 安部 孝俊(石川県立中央病院), 佐藤 礼子(石川県立中央病院), 奥出  輝夫(石川県立中央病院), 森山 秀樹(石川県立中央病院), 小竹 優範(石川県立中央病院), 丹羽 秀樹(石川県立中央病院 病理診断科), 稲木 紀幸(石川県立中央病院), 伴登 宏行(石川県立中央病院), 山田 哲司(石川県立中央病院)
抄録 症例は41歳、女性。検診の腹部エコーで胆嚢ポリープを指摘され、当院を紹介受診した。腹部エコーで胆嚢に多発する亜有茎性ポリープを認め、体部に腺筋腫症を疑う壁肥厚を認めた。腹部CT所見では多発ポリープおよび胆嚢体部にくびれを伴う壁肥厚を認めた。多発ポリープのためか壁肥厚部の粘膜面は不整であった。腹部MRI所見もCT所見と同様で、肥厚した胆嚢壁内に小嚢胞はなかった。以上より、胆嚢ポリープおよび胆嚢腺筋症を第一に考えるが胆嚢癌を否定できないため、診断と治療をかねて手術の方針とした。まず、型通り単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。腹腔鏡で観察すると肝S4肝表に7mm大の白色結節を認めたため、診断と治療をかねて肝部分切除術を施行した。摘出標本で胆嚢は肉眼的にコレステロールポリープと白色調のポリープが多発しており、病理組織学的検査でコレステロールポリープおよび過形成性ポリープと診断した。胆嚢壁肥厚はなく、胆嚢の屈曲とポリープの重なりが壁肥厚として画像でとらえられたと考えられた。肝臓の結節は嚢胞状で内容は白色の粘度の高くない液体であった。病理組織学的検査で嚢胞壁は線毛を有する円柱上皮で被覆され、平滑筋を伴っており線毛性前腸性肝嚢胞と診断した。線毛性前腸性肝嚢胞は胎生期の前腸由来と考えられている先天性の嚢胞で比較的まれであり、文献的考察を加えて報告する。また、当院では単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術および腹腔鏡(補助)下肝切除術を施行しているが、肝表面の小病変に対しては、単孔式腹腔鏡下肝部分切除も選択肢の一つとなりうると思われた。
索引用語 線毛性前腸性肝嚢胞, 単孔式腹腔鏡下肝部分切除術