セッション情報 一般演題

タイトル o-030:

胃癌患者における血清HER2値の検討 -化学療法の効果と血清HER2値変動の相関-

演者 尾山 勝信(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 伏田 幸夫(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 柄田 智也(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 木下 淳(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 渡邉 利史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 岡本 浩一(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中沼 伸一(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 牧野 勇(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中村 慶史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 林 泰寛(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 井口 雅史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 宮下 知治(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 高村 博之(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 二宮 致(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 田尻 亮輔(金沢大学 分子細胞病理学), 太田 哲生(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 大井 章史(金沢大学 分子細胞病理学)
抄録 【背景】HER2陽性胃癌に対するトラスツズマブの有効性が明らかとなり、biomarkerとしてHER2過剰発現をチェックすることは必須となっている。一般に腫瘍組織検体を用いた免疫組織染色やFISH法などが評価に用いられるが、HER2の細胞外ドメインは可溶性抗原として血清中に遊離され可溶性蛋白値(血清HER2)として測定可能である。乳癌領域ではすでに血清HER2のbiomarkerとしての有用性が報告されている。【方法1】胃癌における血清HER2値の意義を明らかにすべく、組織HER2発現状況が検索された胃癌患者145名の治療開始前の血清を用いて検討を行った。【方法2】化学療法経過中に血清HER2値を測定しえた胃癌患者34症例(組織HER2-0, 1+:23症例、2+, 3+:13症例)にのべ186回の測定を行い、化学療法の臨床的・病理学的効果との相関を検討した。【結果1】sHER2値は3.7-1210.0ng/ml(中央値9.3ng/ml)で、6.9%の症例で高値を呈した。分化癌(P=0.015)、免疫組織染色陽性例(P=0.001)では有意に高値を呈していたが、腫瘍の進行度や肉眼型などの臨床病理学的因子や予後との相関はなかった。【結果2】組織HER2-2+, 3+症例では血清HER2値と化学療法の効果に有意な相関が認められた(臨床的効果:P=0.003、病理学的効果:P=0.083)。HER2-0,1+症例では、血清HER2値の変化と相関は認められなかった(臨床的効果:P=0.294)。【考察】胃癌においても、血清HER2値が高値を呈する症例が認められ、組織HER2過剰発現を反映していると考えられた。血清HER2値は治療効果を反映するbiomarkerとして有用であることが示唆された。
索引用語 胃癌, HER2