セッション情報 一般演題

タイトル o-06:

Clear cell typeの肝細胞癌の2例

演者 竹下 雅樹(高岡市民病院 外科)
共同演者 薮下 和久(高岡市民病院 外科), 小林 隆司(高岡市民病院 外科), 堀川 直樹(高岡市民病院 外科), 野手 雅幸(高岡市民病院 外科), 澤崎 邦廣(高岡市民病院 外科), 清水 幸裕(高岡市民病院 消化器内科), 大澤 幸治(高岡市民病院 消化器内科), 芳尾 幸松(高岡市民病院 消化器内科), 伊藤 博行(高岡市民病院 消化器内科), 岡田 英吉(高岡市民病院 病理部), 常山 幸一(富山大学 病理部), 林 泰寛(金沢大学 消化器乳腺移植再生外科)
抄録 はじめに: 肝細胞癌(hepatocellular carcinoma, 以下HCC)の中には淡明な細胞質を有するclear cell variantが存在する。HCCの一部にclear cellを認めることはあるが、腫瘍径の増大とともに減少するため、5cmを超える報告は比較的まれである。当院にて5 cmを超えるclear cell typeのHCCを2例経験したので報告する。 症例1: 72歳、男性。平成18年11月背部痛を認め、当院を受診、腹部超音波検査にて肝S6に径6 cm大の全体が著明に高エコーな腫瘤を認めた。造影CT、血管造影検査にて辺縁は濃染を認めるが、中心部は濃染を認めず、またS2,7に肝内転移が疑われた。MRIではT1強調像でhigh, lowが混在、T2強調像でhighであり、HCCと診断した。平成19年1月肝後区域切除術、肝S2部分切除術、肝S7部分切除術を施行し、病理にてclear cell typeのHCCと診断された。平成20年8月多発肝内再発を認め、手術、RFA施行するが、再発を繰り返し、TAE、肝動注を施行するも、平成24年7月に永眠された。 症例2: 77歳、男性。平成24年10月近医にて肝機能障害を認め、腹部超音波検査にて肝右葉に腫瘍が見つかり、当院に紹介となった。当院での超音波検査では、肝S5/6に径6 cm大の全体が著明な高エコーを示す腫瘤を認めた。造影CTでは辺縁部にのみ濃染を認め、MRIではT1強調像でlow、T2強調像でhighであった。画像検査では確定診断に至らず、腫瘍生検を施行した。病理では、clear cell typeのHCC の可能性が高く、PET検査で他部位に腫瘍を認めなかったためHCCと診断し、同年12月に肝S5部分切除術を施行した。切除標本の病理にて最終的にclear cell typeのHCCと診断された。現在、外来フォロー中である。 考察: 2症例ともに、超音波検査にて通常のHCCと比べ全体に著明な高エコーを呈する腫瘍であることが特徴的だった。画像検査のみで術前に診断することは困難であり、症例によっては生検を考慮する必要がある。 結語: 大きなclear cell type HCCは比較的稀であり、その臨床病理学的特徴や予後は不明の点が多いため、今後、症例の蓄積とその解析が必要である。
索引用語 肝細胞癌, clear cell type