セッション情報 一般演題

タイトル o-050:

粘液型脂肪肉腫と脱分化型脂肪肉腫が併発した多発腸間膜脂肪肉腫の1例

演者 大澤 武(福井厚生病院 消化器病センター )
共同演者 木村 成里(福井厚生病院 消化器病センター ), 浅田 康行(福井厚生病院 消化器病センター ), 東田 元(福井厚生病院 消化器病センター ), 道鎭 正規(福井厚生病院 消化器病センター ), 山本 誠(福井厚生病院 消化器病センター )
抄録 【症例】61歳,男性。【既往歴】2型糖尿病(他院通院:経口薬治療)。【家族歴】特記すべき事項なし。【現病歴】2012年6月に当院人間ドックを受診し,腹部腫瘤を触知。精査目的に外科を受診。【血液検査】CEA 1.2ng/mL,CA19-9 11.1U/mL,sIL-2R 502U/mL。【腹部骨盤部造影CT】骨盤内右側に長径14cm大の境界明瞭・辺縁平滑な腫瘤を認めた。内部の濃度は水に近いが造影すると不均一に淡く染まった。回腸動静脈を左側に圧排し,終末回腸を背側に圧排していた。その頭側に大小の結節が集簇した腫瘍を認め,造影で不均一に濃染した。【腹部骨盤部造影MRI】骨盤内の腫瘍はT1強調in-phaseで高信号,out-phaseで低信号となる部分を認め,脂肪成分を含む。T2強調では低信号を呈する被膜および隔壁様構造を認め,それ以外は大部分で高信号を呈した。造影では徐々に染まった。頭側の腫瘍はT1強調でやや低信号,T2強調でやや高信号であり,脂肪成分を含まない。【腹部超音波検査】骨盤内の腫瘍は内部不均一な高エコー腫瘤,頭側の腫瘍は内部エコーが比較的均一な低エコー腫瘤1個,等エコー腫瘤3個の集簇からなる。以上から骨盤内の腫瘤は回腸間膜の粘液型脂肪肉腫と診断したが,頭側の集簇結節の診断は困難であった。【手術所見】骨盤内の腫瘍は回腸間膜腫瘍であり,頭側の腫瘍は上行結腸間膜腫瘍であった。両腫瘍に連続性はなかった。回腸間膜腫瘍は上腸間膜静脈に接し圧排していたが浸潤はなく,血管を温存して腫瘍摘出術を行った。上行結腸間膜腫瘍は十二指腸に浸潤しており,十二指腸部分切除を含む結腸右半切除術を行った。【病理組織所見】回腸間膜腫瘍は粘液型脂肪肉腫,上行結腸間膜腫瘍は脱分化型脂肪肉腫であった。外科剥離面に癌浸潤を認めない。No.201リンパ節に転移あり。腹水細胞診陰性。【術後経過】補助化学療法としてDXR+IFM併用療法(DXR 30mg/m2 day1,day2;IFM 2g/m2 day1-5:3週1コース)を2コース,次いでDXR+CDDP併用療法(DXR 30mg/m2 day1,day2;CDDP 30mg/m2 day1,day2:3週1コース)を3コース施行。術後1年を経過し再発を認めない。
索引用語 粘液型脂肪肉腫, 脱分化型脂肪肉腫