セッション情報 一般演題

タイトル o-07:

NASHを背景に発症した細胆管細胞癌の一例

演者 本藤 有智(厚生連高岡病院 消化器内科)
共同演者 澤崎 拓郎(厚生連高岡病院 消化器内科), 小川 浩平(厚生連高岡病院 消化器内科), 國谷 等(厚生連高岡病院 消化器内科), 西田 泰之(厚生連高岡病院 消化器内科), 平井 信行(厚生連高岡病院 消化器内科), 寺田 光宏(厚生連高岡病院 消化器内科), 加藤 洋介(厚生連高岡病院 外科), 向 宗徳(厚生連高岡病院 病理科), 常山 幸一(富山大学 大学院医学薬学研究部 病理診断学講座)
抄録 【症例】75歳男性。【現病歴】60歳時よりNASH、糖尿病、高血圧にて当院に通院していた。血糖コントロールは不良であり、肝障害が持続していた。2011年9月、CTにてS4に15mm大のSOLを認め、当科を紹介受診した。【生活歴】飲酒なし、喫煙40本/日×5年。【身体所見】結膜貧血なし、黄疸なし、肝脾触知せず、下腿浮腫軽度あり。【血液検査】AST 44 IU/l、ALT 40 IU/l、PT 96.6%、AFP、PIVKA-II、CEA、CA19-9は正常、肝炎ウイルスマーカー、自己抗体は陰性であった。【画像所見】CTでは動脈相、門脈相、ともに部分的に淡く濃染し、平衡相で全体が淡く造影された。Gd-EOB-MRIではT1低信号、T2は淡く高信号、動脈相で濃染し、門脈相、平衡相および肝細胞相で低信号を示した。CTAPでは血流欠損、CTHAにて早期濃染し、後期相、平衡相でも濃染が持続する結節として描出された。被膜様構造は明瞭でなく、線維成分の多い腫瘍と考えられた。【経過】同年12月、肝部分切除術を施行した。肉眼上は境界不規則、白色軟で周囲を茶褐色な領域がとりまく腫瘍であった。病理組織学的には明瞭な管腔を形成し、胆汁成分をいれる部分や粘液をいれて拡張する不整管腔の融合像などに混じって細胆管様のスリット像を伴う索状~胞巣状の腫瘍塊や好酸性の広い胞体を有して肝細胞と移行的にみえる腫瘍細胞がみられた。免疫染色にてCK7、CK19陽性、EMA染色で管腔構造の内腔面が陽性となったことから細胆管細胞癌と診断した。非癌部はNASH(grade 1、stage 3)であった。【考察】細胆管細胞癌は1959年にSteinerらによって報告された細胆管もしくはHering管由来の肝原発悪性腫瘍である。術前画像診断では確定することは難しく、診断は病理学的検索によることが多い。NASHに合併した細胆管細胞癌の報告は非常に稀であり、貴重な症例と考えられたため若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 非アルコール性脂肪性肝炎, 細胆管細胞癌