セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-036:

禁煙後に発症した重症型潰瘍性大腸炎の1例

演者 柳瀬 祐孝(金沢大学附属病院 消化器内科)
共同演者 大江 迪子(金沢大学附属病院 消化器内科), 早稲田 洋平(金沢大学附属病院 消化器内科), 齊藤 奈津子(金沢大学附属病院 消化器内科), 吉田 功(金沢大学附属病院 消化器内科), 金子 周一(金沢大学附属病院 消化器内科)
抄録 【症例】30代男性【主訴】血便【現病歴と経過】20本/日、10年の喫煙歴があった。2012年11月中旬に禁煙したところ、1週間後に血便を認めた。約1週間、血便は続いたが、その後は自然に消失した。2013年1月下旬より水様性下痢及び血便が出現した。徐々に症状は増悪し、2月上旬頃より37度の発熱も認めるようになった。近医にて急性腸炎として整腸剤を処方されたが、さらに症状は増悪し、39度の発熱と腹痛も認めた。2月下旬に近医にてS状結腸内視鏡を施行したところ潰瘍性大腸炎が疑われ、精査加療目的に当院紹介、同日緊急入院となった。当院にて施行したS状結腸内視鏡では、直腸から連続性に血管透見像の消失、自然出血および膿性粘液の付着を認め、小潰瘍も散見された。腹部造影CT上は全大腸に連続性に浮腫状変化を認め、自覚症状、画像所見から全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断した。臨床的重症度分類では重症型であり、第1病日より絶食の上、プレドニゾロン80mg/日の点滴静注、メサラジン 3600mg/日の内服を開始した。自覚症状および炎症反応は改善傾向にあったが、メサラジンによる薬剤性肝障害が疑われたため、第12病日にメサラジンを中止した。症状は改善傾向ではあるものの血便、下痢が継続したため、第15病日にタクロリムス内服を追加した。第21病日には血便や腹痛は消失し、炎症反応も陰性化した。ステロイド減量に伴い、第40病日より寛解維持目的にアザチオプリンを追加した。【結語】喫煙は潰瘍性大腸炎発症・悪化のリスクを減少させるとの報告を多数認める。今回、禁煙後に発症した重症型潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 喫煙