セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-043:

大腸内視鏡では診断が困難であった大腸粘液癌の一例

演者 大和 雅敏(国立病院機構金沢医療センター 消化器科)
共同演者 太田 肇(国立病院機構金沢医療センター 消化器科), 羽柴 智美(国立病院機構金沢医療センター 消化器科), 梶 喜一郎(国立病院機構金沢医療センター 消化器科), 林 智之(国立病院機構金沢医療センター 消化器科), 矢野 正明(国立病院機構金沢医療センター 消化器科), 丸川 洋平(国立病院機構金沢医療センター 消化器科), 森田  晃彦(国立病院機構金沢医療センター 外科), 萱原  正都(国立病院機構金沢医療センター 外科), 川島 篤弘(国立病院機構金沢医療センター 病理部), 小川  滋彦(小川医院)
抄録 大腸内視鏡では診断が困難であった大腸粘液癌の一例担当:大和症例は80歳代の女性。2012年7月に便秘・腹部膨満感を主訴に近医を受診し、腹部レントゲンで大量の腸管ガスを認めたため紹介となった。当院での画像診断では明らかなイレウス像や狭窄を来すような腫瘍性病変は指摘できなかったため、緩下剤等で対症的に加療し主訴は改善した。しかし、採血にてCEA高値(42ng/ml)があり大腸内視鏡検査(TCF)を施行したところ、明らかな腫瘍性病変はなかったが横行結腸に浮腫上の発赤所見を認めた。同部位の生検では未分化腺癌が疑われた。14日後にTCFを再検し前回生検部の周囲複数か所から生検したが悪性所見は得られなかった。未分化腺癌の原発巣精査のため造影CTを行ったところ、横行結腸に多発する低吸収の粘膜下病変が認められ、同病変はMRIT2強調像にて著名な高信号を示し水分を多く含む病変と考えられた。多臓器悪性腫瘍の結腸への転移やリンパ腫なども疑いPET-CTを施行したが、結腸を含めて明らかな異常集積部位は認められなかった。大腸癌としては非典型的所見であったため婦人科系腫瘍の除外を目的に腹腔鏡検査を施行したところ、卵巣や腹膜に異常はなかったが、横行結腸の腫瘍性病変と腸間膜リンパ節の腫大が認められた。以上より大腸粘液癌を疑い、同年10月に腹腔鏡下左半結腸切除及びリンパ節廓清を行った。手術標本では横行結腸粘膜下に腸間膜まで広がる径80mm大腫瘍を認めたが、その粘膜面には腫瘍を疑う所見はなかった。病理所見でも粘膜面に腫瘍細胞は見られず、粘膜下層から腸間膜内にかけて粘液腔内に増殖した印環細胞あるいは低分化型異形細胞の胞巣が認められた。免疫染色ではMUC2,MUC5ACが陽性、最終診断はadenocarcinoma,muc>por2,pT3,pN0,M0,StageIIaとした。現在術後半年であるが、CEAは42ng/ml→2ng/mlと低下し明らかな再発所見なく無治療経過観察中である。【まとめ】TCFでは診断が困難であった大腸粘液癌の一例を経験した。大腸癌全体の5%程度と稀な腫瘍であり示唆に富む症例と考えられたため報告した。
索引用語 大腸癌, 粘液癌