セッション情報 一般演題

タイトル o-016:

当科で経験した膵リンパ上皮嚢胞の4例

演者 寺川 裕史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 牧野 勇(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中川原 寿俊(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 宮下 知治(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 田島 秀浩(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 北川 裕久(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 正司 政寿(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 渡邉 利史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 岡本 浩一(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中沼 伸一(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 酒井 清祥(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 木下 淳(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 中村 慶史(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 林 泰寛(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 尾山 勝信(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 高村 博之(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 二宮 致(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 伏田 幸夫(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 宮本 正俊(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 藤村 隆(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科), 太田 哲生(金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科)
抄録 膵リンパ上皮嚢胞(以下、膵LEC)は、膵嚢胞性疾患の中でも比較的まれな良性疾患であり、他の膵嚢胞性疾患との鑑別が臨床上問題となる。2004年から2012年に当科で経験した膵LECの4例について検討した。症例は男性3例、女性1例、平均年齢は55歳であった。腫瘍の部位は膵頭部1例、膵体部1例、膵尾部2例であり、腫瘍の大きさは平均62.5mmであった。3例が多房性、1例が単房性であった。いずれの症例にも自覚症状はみられなかった。CA19-9は4例中3例が高値であった。術式は核出術が2例で尾側膵切除術が2例であった。4例中3例は、術前にLECを疑って手術を行っており、残りの1例は術中迅速組織診断を行い、膵LECと診断した。術前に施行したCTではいずれの症例も膵外に突出する境界明瞭な嚢胞性病変として認められた。MRIでは膵LECの嚢胞内に含まれるケラチン様物質を反映して他の嚢胞性疾患と比べT1強調像で高信号を呈し、MRCPでは信号強度が低いことが特徴と考えられた。4例とも主膵管には異常所見を認めなかった。膵LECは基本的には良性疾患であり、術前診断がつけば絶対的な手術適応はないと考えられる。しかしながら現在本邦では膵嚢胞性疾患に対するEUS-FNAは推奨されていないため、他の嚢胞性腫瘍を完全に否定することは困難であり、外科的切除が選択されることが多い。その際には過大侵襲とならないよう術式を選択すべきと考えられた。
索引用語 膵リンパ上皮嚢胞, 膵嚢胞性疾患