セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル o-044:

大量腹水を契機に発見された虫垂goblet cell carcinoidの一例

演者 谷川 明希子(福井赤十字病院 消化器科)
共同演者 馬場 萌加(福井赤十字病院 消化器科), 鳥居 志充(福井赤十字病院 消化器科), 原 季衣(福井赤十字病院 消化器科), 西山 悟(福井赤十字病院 消化器科), 三原 美香(福井赤十字病院 消化器科), 松永 心祐(福井赤十字病院 消化器科), 里見 聡子(福井赤十字病院 消化器科), 道上 学(福井赤十字病院 消化器科), 山崎 幸直(福井赤十字病院 消化器科), 川上 義行(福井赤十字病院 外科)
抄録 【症例】60才代 男性 【主訴】腹部膨満感【現病歴】12月頃から便秘を自覚していた。2月になり腹部膨満感も自覚したため近医を受診した。腹部超音波検査で大量の腹水を指摘され、精査・加療目的に当院を紹介受診となった。【臨床経過】当院での腹部超音波検査でも混濁した大量の腹水を認めたが、原因は不明であった。入院時の腹部造影CT検査では肝表面に凹凸は認めず、広範な腹膜肥厚と大網肥厚を認めた。腹水穿刺を施行したところ、混濁やや血性の滲出性腹水を認めたが細胞診は陰性であった。特発性細菌性腹膜炎、腫瘍性疾患、結核性腹水、悪性中皮腫も鑑別に上げ、腹水の培養検査、腫瘍マーカー測定、結核菌PCR検査、ヒアルロン酸の測定を行ったところ、腹水中のCEA、CA19-9が著明に増加しており、血中CEA、CA19-9も上昇を認めた。以上から腫瘍性疾患による大量腹水が最も考えられたため、再度腹部超音波検査施行したところ、無数の浮遊物を伴い、多房性に被包化された混濁した腹水を認め、虫垂は低エコーのダルマ状の腫瘤として認められた。これらの検査所見から虫垂癌破裂による癌性腹膜炎を疑った。全大腸内視鏡検査では盲腸粘膜に異常は認めず、虫垂開口部も内視鏡上は正常であった。PET検査では大網部にやや集積がある程度で明らかな原発巣は指摘できなかった。確定診断に難渋する症例でもあり、診断的治療目的に審査腹腔鏡検査、可能であれば回盲部切除術を行う方針とし、手術を行った。術中肉眼的所見で癌性腹膜炎の所見であったため、回盲部切除術を施行した。切除標本で虫垂goblet cell carcinoidと診断し、大量腹水の原因は虫垂カルチノイドの破裂による癌性腹膜炎と診断した。【結語】虫垂goblet cell carcinoidによる大量腹水の一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 虫垂goblet cell carcinoid, 癌性腹膜炎