セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | o-010:膵腫瘍との鑑別が困難であった腫瘤形成性自己免疫性膵炎の1例 |
演者 | 増永 高晴(KKR北陸病院 消化器内科) |
共同演者 | 坂下 俊樹(KKR北陸病院 消化器内科), 篠崎 公秀(KKR北陸病院 消化器内科), 油尾 英未(KKR北陸病院 消化器内科), 荒能 義彦(KKR北陸病院 外科), 森下 実(KKR北陸病院 外科), 松之木 愛香(KKR北陸病院 外科), 綱村 幸夫(伊藤病院), 湊 宏(金沢医科大学病態診断医学) |
抄録 | 膵腫瘍と腫瘤形成性膵炎の鑑別は困難伴うことがある.今回,CTとMRIにて多血性腫瘤陰影を認め,内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)において膵尾部主膵管閉塞所見のみを呈し,膵腫瘍との鑑別が困難であった腫瘤形成性自己免疫性膵炎の1例を経験したので報告する.症例は70歳代 男性.糖尿病,GERDにて近医通院し投薬にて血糖コントロールされていた. 明らかな自覚症状はなかったが定期検診のCTにて膵尾部に腫瘤陰影を認め,2012年3月に当科紹介入院となった.腹部造影MRIでは,膵尾部に5x3cmの腫瘤をみとめ,T1強調では低信号.T2強調では膵実質と等信号.造影早期では周囲の膵実質より強く均一に濃染し,後期相でも濃染は持続した.MRP上は主膵管の中断を認めた. 血管造影では膵尾部腫瘤は動脈相より軽度造影され門脈相においても濃染持続した.腹腔動脈より造影したCTAでは膵尾部に境界明瞭な分葉状の腫瘤をみとめ,早期相で軽度濃染し後期相まで濃染が持続した.以上より,膵尾部の多血性腫瘍または腫瘤形成性膵炎が疑われた.内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)では膵頭部や体部の膵管は主膵管,分枝ともにほぼ正常であったが,膵尾部主膵管の閉塞を認めた.このERP所見より膵腫瘍を疑った.血管造影時施行した選択的動脈内カルシウム注入試験での肝静脈サンプリングにて下十二指腸動脈と脾動脈刺激でのインスリンが基礎値の約3倍に上昇した.以上より明らかな低血糖発作を認めなかったがインスリノーマと術前診断し当院外科にて膵体尾部脾合併切除を行った.切除標本では膵実質内に6x3cmの白色調の境界不整な腫瘤を認めた.腫瘤に一致した部分に線維化と形質細胞とリンパ球浸潤を認め炎症性腫瘤と診断された.免疫染色ではIgG陽性細胞 CD38陽性細胞を多数認め,IgG4陽性細胞も少数認めた.血中IgG4は256mg/dlと上昇していたことより腫瘤形成性の限局型自己免疫性膵炎(AIP)type1と診断された.主膵管の閉塞所見のみを呈する腫瘤形成性自己免疫性膵炎の存在も念頭におく必要があり,教訓的症例と考え提示した. |
索引用語 | 腫瘤形成性自己免疫性膵炎, 膵腫瘍 |