セッション情報 一般演題

タイトル o-011:

超音波ガイド下経皮的膵生検が診断に有用であった、腫瘤形成性膵炎を合併した膵頭部癌の1例

演者 又野 豊(国民健康保険 小松市民病院 内科)
共同演者 大石 岳(国民健康保険 小松市民病院 内科), 高橋 直樹(国民健康保険 小松市民病院 内科), 吉光 雅志(国民健康保険 小松市民病院 内科), 後藤 善則(国民健康保険 小松市民病院 内科)
抄録 症例は60歳代、女性。高血圧症、脂質異常症等にて他院に通院中、201X年1月初旬より口渇、全身倦怠感を自覚するようになった。他院に受診したところ高血糖を指摘され、腹部単純CT検査にて膵尾部腫瘤を指摘されたため、精査加療目的に当科に紹介となった。理学所見上特記すべき所見を認めず、採血では腫瘍マーカーの高値(CEA 371.5ng/ml,CA19-9 7161U/ml)を認めたがIgG4を含めた免疫グロブリン分画はいずれも正常範囲内であり、各種自己抗体は陰性であった。腹部超音波検査上膵頭部及び膵尾部に低エコー腫瘤を認めた。腹部造影CT検査上膵頭部腫瘤は周囲の膵組織と比較してほぼ同等の造影効果を呈したが膵尾部腫瘤については辺縁のみが被膜様に淡く造影されるも腫瘍の大部分はほとんど造影効果を認めなかった。体部の主膵管は軽度拡張していたが周囲の実質には萎縮を認めず、また膵内に石灰化陰影も認めなかった。それとは別に肝左葉、肝右葉に転移を疑う結節を認めた。MRCP検査では膵頭部に、上流の膵管の拡張を伴う主膵管の滑らかな狭窄を認め、それとは別に膵尾部で主膵管の途絶を認めた。肝転移を伴う膵癌を強く疑い、各膵病変の性状診断目的に超音波ガイド下経皮的膵生検を施行したところ、膵頭部病変については乳頭腺癌と、膵体尾部病変については腫瘤形成性膵炎と診断された。現在塩酸ジェムシタビン+エルロチニブ併用化学療法を導入、継続中である。 膵内に多発腫瘤影として認められ、画像検査では診断が困難であった病変に対し、経皮的膵生検が診断に有用であった1例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 腫瘤形成性膵炎, 膵頭部癌